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富士川かりがね橋 利便性向上 “悲願”市街地と一体感【渡り暮らす 富士川かりがね橋開通㊤】

 富士川に富士市内3本目の一般道として開通した「富士川かりがね橋」。多くの市民が通勤や生活道路として渡り、日々の暮らしへの効果が聞かれ始めた。利便性向上や渋滞緩和など利用者が実感している変化を紹介する。
富士市街(左)と富士川地区を結ぶ富士川かりがね橋(手前)。開通後、利便性向上などの効果が聞かれ始めた=2月中旬、本社ヘリ「ジェリコ1号」から
 「山梨方面へと続く橋の完成で、交流はますます盛んになる。地域間の連携は輝かしい未来へとつながる」。3月9日、富士市内で開かれた富士川かりがね橋の開通式典。県に橋の建設を求めてきた期成同盟会会長の小長井義正市長は、周辺市町との交流や産業の発展に確信を込めた。
 富士川かりがね橋は東名高速道路北側に架かる片側1車線の742メートル。市街地側の岩松地区と、富士宮方面へとつながる木島地区を結び、早くも県外ナンバーの車が車列に交ざる。
富士川かりがね橋
 1986年から活動する期成同盟会は、富士・富士宮両市と山梨県身延・南部両町で構成する。同会副会長の佐野和広南部町長は「地元はもとより、われわれの悲願でもあった。この橋の開通を念頭にさまざまなまちづくりに臨んできた」と話した。長年にわたる整備は、観光、産業、防災など圏域の暮らしを支える事業でもある。
 開通初日は数珠つなぎの車が橋を渡り、併設された自転車・歩行者道も人で埋まった。橋の両脇には背の低い欄干だけが備わって開放的。東に富士山、西には富士川サービスエリアの観覧車などを望み、絵になる景観が話題に上がる。
 富士川地区側から対岸の高校に通う生徒は「学校だけでなく遊びの行き先も広がる。世界が変わった」と市街地と近接した感覚を強調する。元富士川二中校長の高原民生さん(77)は、小中一貫校の教育体制を築いた地域の特性に触れ「この地域への定住を呼びかける時、住みやすさをアピールする重要な要素になったはず」とみる。
 川を挟む地区との一体感は、橋に接続する周辺道路が整備されたことも大きく寄与している。富士川地区の女性(74)は「地域への愛着は事故や犯罪の抑止にもつながると思う。心理的な成果をもたらすのでは」。周辺の住民に共通の意識が芽生える可能性を指摘する。

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