テーマ : 芸能・音楽・舞台

歌うように 踊るように バイオリニスト/椙山久美さん(浜松市中区)【表現者たち】

 バイオリニスト椙山[すぎやま]久美さん(59)=浜松市中区=が4月末、デュオリサイタルを静岡、浜松の両市で開く。ピアニストでパリ国立高等音楽院教授、上田晴子さんとの共演。当初は2020年春に予定していたが、新型コロナウイルス禍で延期が続き、3年越しとなる。フランクやラベルのバイオリンソナタをはじめ、フランス人作曲家を中心とした名曲プログラム。「歌うように、踊るように。色彩あふれる音色を届けたい」と臨む。

学生時代からの愛器を手に、「私は作曲家の表現を伝える媒体」と語る椙山久美さん=浜松市中区(写真部・二神亨)
学生時代からの愛器を手に、「私は作曲家の表現を伝える媒体」と語る椙山久美さん=浜松市中区(写真部・二神亨)
地元に拠点を移して10年。国内外へ巣立った教え子たちから贈られたぬいぐるみをレッスン室に飾る
地元に拠点を移して10年。国内外へ巣立った教え子たちから贈られたぬいぐるみをレッスン室に飾る
学生時代からの愛器を手に、「私は作曲家の表現を伝える媒体」と語る椙山久美さん=浜松市中区(写真部・二神亨)
地元に拠点を移して10年。国内外へ巣立った教え子たちから贈られたぬいぐるみをレッスン室に飾る

 浜松市出身。5歳でバイオリンを始めた。東京芸大付属音楽高に進み、同大、同大大学院からウィーン国立音楽大に留学。帰国後はドイツ音楽を軸に国内外で演奏活動をしてきた。
 上田さんとは02年、共に講師を務めたセミナーで知り合った。「ドイツもの、フランスものと、それぞれが踏み入れてはいけないと捉えていたが、私の演奏を聴いた上田さんに『一緒にやろう』と誘ってもらった」。05年からデュオを組み、CDでも共演する。
 フランス音楽は「全てを語らない。その余韻を推し量る粋さがある」。リサイタルを重ね、「点描画が1点1点から成るように、意味を与えられていない音は一つもない。私たちの色は分かりやすい。それが誇り」と思えるようになった。
 クラシックは、演奏家が楽譜を基に演奏する「再現芸術」とも呼ばれるだけに、椙山さんは「あくまでも透明な媒体」と自認する。
 一方、リサイタルでは曲の合間に解説を入れ、作曲家と聴衆をつなぐ役目を果たす。「一人の人間が自分の表現として生み出した作品が、今でも愛されていることに神秘を感じる。人となりや時代背景に思いをはせ、その曲をより身近に感じてもらいたい」
 
 椙山さんのリサイタルは、28日午後7時に札の辻クロスホール(静岡市葵区)、29日午後2時に浜松市福祉交流センター(同市中区)で開演する。

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