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裾野でロケ 「リボルバー・リリー」 行定勲監督 生と死の境界線描く

 裾野市でロケが行われた「リボルバー・リリー」は、長浦京のハードボイルド小説を、行定勲監督がガンアクションと人間ドラマを両輪に据えて映画化した。行定監督は、綾瀬はるか演じる銃の使い手「小曾根[おぞね]百合」の行動原理が伝わる演出に腐心したとし「生と死の境界線を描けた」と手応えを口にした。

「リボルバー・リリー」の行定勲監督。「オープンセットを組むなど、裾野市内各地でロケを行った。手厚い支援に感謝したい」=7月31日、同市役所
「リボルバー・リリー」の行定勲監督。「オープンセットを組むなど、裾野市内各地でロケを行った。手厚い支援に感謝したい」=7月31日、同市役所
「リボルバー・リリー」の一場面
「リボルバー・リリー」の一場面
「リボルバー・リリー」の行定勲監督。「オープンセットを組むなど、裾野市内各地でロケを行った。手厚い支援に感謝したい」=7月31日、同市役所
「リボルバー・リリー」の一場面


 舞台は大正時代の東京。小曾根は鍛え抜かれた戦闘力と洞察力で、やくざや軍から狙われる少年細見慎太(羽村仁成)を保護する。陸・海軍の陰謀と工作がうごめく中、小曾根は生き延びるためのぎりぎりの選択を繰り返す-。
 「GO」(2001年)、「世界の中心で、愛をさけぶ」(04年)などで知られる行定監督にとって、アクションは挑戦的な領域。「決して手にしないタイプの原作小説だが、結果的に自分らしい映画になった」と振り返る。
 脚本にも関わる中で、原作の主人公の人間像をさらに際立たせる方向を模索した。「最初に『殺し合いにも身だしなみが大事だ』というコピーを考えた。きれいなドレスを着た女が返り血を浴びて(銃の)リボルバーを持って陸軍と対峙[たいじ]する絵が浮かんだ。これが荒唐無稽に見えない映画にしたいと思った」
 路面電車が横切る銀座辺りや、ゆかしい建築が連なる色街をダイナミックなセットで再現し、陰影に富んだ美しい照明の中を綾瀬や共演の羽村、長谷川博己らが縦横無尽に動き回る。勢いを重視するため、特にアクションシーンでは長回しの撮影を繰り返した。
 「主人公が喜々として人を撃ちまくっているように見えてはならない。リアリティーより、場面ごとの精神性を表現したかった」
 「特殊な教育を受けた殺し屋」という難しい役柄を綾瀬に託した。
 「彼女の身体能力の高さがなければ作品は成立しなかった。りんとしたたたずまいがあり、暗さの中に妖艶さを放っていた。アクションの際の、眼光の宿し方も見事だった」
 幻想的な映像と、シビアな戦闘を対比的に置き、骨太なストーリーの説得力を高めた。
 「生きながらにして、死んでいるような人がいる。だが、当初そうした人物だった小曾根は(作品中で)『生きることにした』と宣言するようになる。その道筋をたどってもらえたら」
 (教育文化部・橋爪充)

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