テーマ : 芸能・音楽・舞台

へん【変】 山崎皓司/私に与えられた「役割」【SPAC俳優 言葉をひらいて㉙】

 思えば、子供の頃に「変」と言われ続けたことが僕の人生に大きな影響を与えました。「人に期待されているように人はなる」と誰かが言っていましたが、まさにそんな感じで、急に高校生の時に舌や首にピアスを開けてみたり、サッカー部なのにボクシングジムに通い出したり、役者になると言い出したり。そして美大で変な人たちに囲まれて、「僕が一番普通で、一番ちゃんとサラリーマンができるだろう」なんて思っていましたが、結局ならずに今に至ります。

へん【変】
へん【変】

 シェークスピアの「お気に召すまま」に出てくる「この世は舞台、人は皆役者」という言葉が僕に翼を与えてくれました。あと愛媛の農場主さんの「百姓というのは、百の姓を持つ、百の屋号を持つ、百の仕事を持つってことで昔はみんないろんな仕事をして生きていた」という言葉も心の支えになっています。
 「俳優です」と名乗れば、「何で稼いでるの?」「テレビに出るのを楽しみにしてるよ」と今でも言われます。
 東京にいる時はずっと飲食業のアルバイトをしていました。ふと「料理が好きなら別にバイトしていることを卑下する必要はないな、これも一つの役だ」と思いました。
 掛川に帰郷して、バイトをする代わりに、生きるために猟師、農家、養蜂家、給仕さん、現場作業員、大工さんなどなど、いろんな役をやって生きています。「ネオ百姓」(ださい? キャッチコピー募集中)として、この世界という舞台でいろんな役をPLAYして(遊んで)います。
 一つの仕事をしてお金を稼いで生きていくのが当たり前とされがちですが、何してるのか分からない金髪のあんちゃんが楽しそうに生きている姿を子供たちに見せておくことも、地域の変なおじさん役も、僕に与えられた役割と信じてこれからもこの世界で遊んでいく所存です。

 やまざき・こうじ 4月27~29日、SPACの「ふじのくに⇄せかい演劇祭」で「かちかち山の台所」に出演予定。5月18日、掛川市倉真に作った「山崎城」でイベント「にんげんっていいなの宴」を開催する。

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