テーマ : 芸能・音楽・舞台

海野雅威 直感重視のステージに【ハママツ・ジャズ・ウィーク「ヤマハジャズフェスティバル」出演者に聞く㊤】

 第31回ハママツ・ジャズ・ウィーク(浜松市、ヤマハ、静岡新聞社・静岡放送など主催)が10月14日に浜松市で開幕する。最終日、22日にアクトシティ浜松で行う「ヤマハジャズフェスティバル」の出演者に、音楽的な信条や、今回のライブの聴きどころを聞いた。
ヤマハジャズフェスティバル出演を心待ちにするピアニストの海野雅威。新作の録音をともにした「信頼できる仲間」2人と演奏する
 東京芸大在学中、18歳で音楽家として活動を始め、2008年に米ニューヨークに移住したピアニストの海野雅威[ただたか]。マイルス・デイビスとの共演で知られるドラマーのジミー・コブ、00、10年代を代表するトランペッター、ロイ・ハーグローブら数々の大物ジャズ音楽家との共演で知られる。
 「ジャズの本場に住んで、現地のミュージシャンに指名されてバンドに入るようにならないと本物じゃない、という思いがあった」
 レジェンドたちとの演奏では憧れを捨て、対等な立場であろうとした。「そうでなければ、彼らを尊敬したことにならないから」
 22年の「Get My Mojo Back」、23年の「I Am, Because You Are」のアルバム2作は、自作曲だけで構成した。録音メンバーのダントン・ボーラー(ベース)、ジェローム・ジェニングス(ドラムス)とライブを重ね、サウンドを深化させてきた。アクトシティ浜松でも、同じトリオで演奏する。
 「ジャズは黒人の過酷な歴史の中で生まれた。(アジア人の)僕、(白人の)ダントンはそれを担った人々への感謝を忘れない。黒人のジェロームは、それを理解している。僕たちを信頼してくれている」
 静岡市葵区の「ライフタイム」、浜松市中区の「ハァーミットドルフィン」など、本県での演奏経験は多い。「ジャズに熱い方、大好きな方、顔なじみの方がいる。ホッとできる地域」。「音楽のまち」浜松の風土と歴史に敬意を込める。同市出身のピアニスト上原ひろみとの交友にも縁を感じている。
 「自作曲、スタンダードの両方を演奏したい。曲目は自分の直感次第。いろいろなことができる、というわくわく感が湧いている」
 (教育文化部・橋爪充)
■私の名盤  「カインド・オブ・ブルー」 マイルス・デイビス(1959年)
「カインド・オブ・ブルー」 マイルス・デイビス(1959年)
 ジミー・コブは「俺と演奏すれば、マイルス(・デイビス)の精神を感じられるんだ」と言ってくれた。彼を経由してマイルスにつながる、という感覚だ。コブ、サックスのジョン・コルトレーン、ピアノのビル・エバンスらが参加した本作は、オールスターの演奏を通じて彼らのさらに「その先」につながることができる。人脈の広がりがある、ジャズ入門として最適な1枚。

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