テーマ : 芸能・音楽・舞台

マリオ生みの親が語る、映画で「人間らしくなった」キャラたちへの愛 任天堂の宮本茂さん「底抜けに明るく、理想通りの作品」

 任天堂の人気キャラクターを題材にしたアニメ映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」が4月28日から国内で公開される。アメリカなどでは4月5日に先行公開され、海外メディアの報道では最初の5日間の興行収入が世界で3億7700万ドル(約500億円)となり大ヒット。アニメ映画としては史上最大となった。製作には任天堂の宮本茂代表取締役フェローが携わった。マリオのキャラクターデザインを手がけた「生みの親」である宮本さんに、映画やゲームを通してキャラたちへの愛を語ってもらった。(共同通信=浜田珠実、坂手一角)

映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」の一場面のマリオ(左)とルイージ(C)2023 Nintendo and Universal Studios
映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」の一場面のマリオ(左)とルイージ(C)2023 Nintendo and Universal Studios
映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」の一場面。左からマリオ、ピーチ姫(C)2023 Nintendo and Universal Studios
映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」の一場面。左からマリオ、ピーチ姫(C)2023 Nintendo and Universal Studios
インタビューに応じる任天堂の宮本茂代表取締役フェロー=4月12日、京都市
インタビューに応じる任天堂の宮本茂代表取締役フェロー=4月12日、京都市
インタビューに応じる任天堂の宮本茂代表取締役フェロー=4月12日、京都市
インタビューに応じる任天堂の宮本茂代表取締役フェロー=4月12日、京都市
インタビューに応じる任天堂の宮本茂代表取締役フェロー=4月12日、京都市
インタビューに応じる任天堂の宮本茂代表取締役フェロー=4月12日、京都市
映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」の一場面のマリオ(左)とルイージ(C)2023 Nintendo and Universal Studios
映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」の一場面。左からマリオ、ピーチ姫(C)2023 Nintendo and Universal Studios
インタビューに応じる任天堂の宮本茂代表取締役フェロー=4月12日、京都市
インタビューに応じる任天堂の宮本茂代表取締役フェロー=4月12日、京都市
インタビューに応じる任天堂の宮本茂代表取締役フェロー=4月12日、京都市

 人形だったマリオに人格ができた
 ―アメリカでは大ヒット中です。
 「ありがたいですね。アメリカではマリオの認知度も高いし、昔遊んでいた人たちが今、お父さんお母さん世代になっています。家族が全員マリオを知って、映画館に来てくれるという潜在性の大きさに改めて驚きました」
 ―「ミニオンズ」で有名なアニメ大手のイルミネーション社との共同製作でした。
 「会社というより、共同プロデューサーのクリス・メレダンドリさんと組めて良かったです。クリスさんとはもの作りの姿勢が似ているんです。ゲーム開発でも、失敗したところを反省して傷口に塩を塗り、なめ合って楽しむ。そういうことを2人ともするので、ピンときました。それが続編のスタートにつながることもあります」
 ―キャラを映画で動かす時、どんなことを意識されたのでしょうか。
 「現場では、マリオのゲームファンの人から『マリオじゃない』と言われないものを作ろう、という思いは一致していました。これまで、最初に僕が8ビットの絵で描いて、ゲームで2Dから3Dへと進化してきたという歴史があるんですが、アニメーションではより表情が豊かになったり、動きが派手になったりして、今まで人形だったのがすごく人間らしくなったなあと。人格ができて良かったなと思いますね」
 ピーチ姫を強い女性にしたかった
 ―どんなストーリーでしょうか。
 「初めは自信がなかったマリオとルイージが、何かを克服して自信を持った男の子になるという話です。『2人でいれば大丈夫』というのがキーワード。そこに、キノピオを守るためにピーチ姫が戦ったり、ドンキーコングが絡んできたり。それぞれのキャラクターが目標を持って動き、それがかみ合って一つの話になりました」
 「マリオって何がいいのかというと、根っから底抜けに明るいところ。だから、映画を見に来た親子が退屈せず、楽しい1時間半を過ごして気持ちよく帰るという理想通りのものができました」
 ―ピーチ姫が戦う女性として描かれたのが印象的です。
 「ピーチ姫をもっと強い女性にしたいなあとはずっと前から思っていました。ゲームではもともと、マリオがピーチ姫を助けるという目的があるので、自分で戦うことはなかったんです。でもここ20年のアメリカ映画って女性が戦うじゃないですか。だから、クリスさんとはスタートの時から『今度は戦うピーチ姫だ』と話していて、今までのイメージとずれないよう、表現や程度を相談しながらやりました」
 ―ブロックを使って飛んだり、虹色の道をレースのように車で走ったり。ゲームに没入しているようなシーンも多くあります。
 「マリオなんだから、基本はアクション映画ですよね。ゲームの中のいろんな動きを、映像で見てそのまま楽しめるように作りました。最初はニューヨークから始まりますが、きっちり現実の世界に組み込むより、マリオが動き回って楽しい空間になっていたらいいやと割り切りました」
 「大事なのは、どこで何が起こっているのかを観客がカメラを通して追っていけることと、壮大さを見せるカメラワーク。カートのシーンは難しかったんですけど、今までのアニメーションでは使われていないカメラワークもたくさん作ったと監督がアピールしていました」
 ―次回作はあるのでしょうか。
 「今回の映画で、40年間作り続けたマリオのゲームを再構成するだけでも(一つの作品には)入りきらないということが分かりました。まだまだ資産がたまっていて、それだけで新しいものを作れる手応えはあります」
 「次回があるならば、(今回の映画のように)クッパやピーチ姫との出会いなど導入部分の必須課題がないので、1時間半を自由に使える。組み立ても自由なので、楽しいですよね。でも面白い、これはいけそうと思えてから発表するのが任天堂のスタイルなので、今はとにかく1作目にご注目ください」
 新作ゲームにも期待大
 ―最近のゲーム開発についても教えてください。
 「一から全部自分でゲームを作ることはもうしていませんが、ゼネラルプロデューサーとして、うまくいかないときに救急隊のように出て行って修正したりします。最近だと(ゲームアプリの)『ピクミン ブルーム』。今までにないゲームで楽しかったですね。たまにやると楽しいです、ゲームの開発は」
 ―映画作りを経て、マリオの新しいゲームについてのアイデアはありますか。
 「マリオたちは人間らしくなりましたが、ゲームに戻った時にまた人形に見えたら困るのでそこが課題ですね。ゲームの形式として一番簡単なのは通信対戦なんでしょうけど、そこへ逃げるのは嫌で。対戦って基本的に面白いじゃないですか。だからその技術でマリオを作るのは、らしくないかな」
 「次の可能性はこれからちょっとずつお見せしていきます。(ネット配信番組の)『ニンテンドーダイレクト』を見逃さずにいると何かまた出会えるかもしれないので、楽しみにしていただけたら」

いい茶0

芸能・音楽・舞台の記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞