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大自在(3月3日・金曜日)札幌冬季五輪

 1972年の札幌冬季五輪が開かれたのは小学生の時だった。スキージャンプ「日の丸飛行隊」の表彰台独占やフィギュアスケート女子ジャネット・リンさんの笑顔が記憶によみがえる時、思わず口ずさんでしまうのが大会テーマソング「虹と雪のバラード」だ。
 札幌市は大会を機に、地下鉄や高速道路など都市基盤の整備が進んだ。デュオ、トワ・エ・モワの歌声とともに半世紀以上にわたって愛されるこの曲にも、発展する街への夢や希望を想起させる歌詞がちりばめられている。
 その同市が掲げる2030年の冬季五輪・パラリンピック招致が、停滞感を増している。一昨年の東京大会を巡る汚職、談合事件が広がりを見せ、五輪のイメージが悪化した影響が大きい。市と日本オリンピック委員会は、招致への積極的な機運醸成活動を当面休止している。
 静岡新聞社加盟の日本世論調査会が昨年11~12月に実施した調査では、「どちらかといえば」を含め招致賛成は全国が57%だったのに対し、北海道は41%。北海道は反対が56%に上った。
 72年大会は2年前の大阪万博から連なる、日本の右肩上がりを象徴する出来事だった。五輪について、金がらみの「商業五輪」との批判が出る前でもある。「2回目」への期待には「良き時代」へのノスタルジーが含まれているのかもしれない。
 施設整備費のうち、札幌市の負担分は試算で490億円。祭典の負の側面が次々に露呈する中、72年大会と同じような成功体験が望めるのか。調査結果は地元だからこその実感があることを示している。

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