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スケボーの公園利用ってありなの? 高まる人気、自治体に聞いてみた【NEXT特捜隊】

 読者からの疑問に答える「NEXT特捜隊」に、磐田市在住の30代男性から「近所の公園から暗くなる時間帯まで鳴り響くスケートボードの滑走音に悩まされている」という声が寄せられた。公共の公園におけるスケボーの利用についても課題を感じているようだ。静岡県内の公共施設で練習できる環境や、自治体ごとの公園のルールなどについて取材した。   本質はストリート  9月中旬、静岡市駿河区の公園の一角。ブランコなどで遊ぶ子どもやベンチで談笑する大人が過ごす中、20代の男性が「ゴーゴ、ガッガ」とコンクリートをこする無機質な音を立てて、黙々とスケボーに取り組んでいた。 photo01
 滑り始めてから8年という男性は「スケボーのカルチャーが好き。友達が増えるのも楽しい」と語る。この公園はスケボーの利用を禁止していないが、人通りは多い。スケボー専用の施設を利用しないのかと尋ねると「専用施設だけでやっているスケーターは仲間にダサいと思われる。本質はストリートという思いがある」と話した上で、「中心街に練習場所がもっと欲しい」と訴えた。 東京五輪が契機  スケボーではトリックと呼ばれるジャンプや回転技の難易度、高さ、スピードなどが評価される。2021年の東京五輪の正式種目には街中のスロープや手すりなどを模した「ストリート」と、おわん形の斜面を組んだ「パーク」の2種目が採用された。日本選手は計5人がメダルを獲得する快挙を果たし、競技の人気は一層高まった。   photo01
 静岡市葵区の練習場「東静岡アート&スポーツ/ヒロバ」によると、盛り上がった東京五輪以降は年間利用者が2万8000人前後という。市の担当者は「スケボーの人気は今も引き続き高い」と口にする。
 県内市町も利用者からの要望に応えようと、専用の練習場所を増やしている。藤枝市は3月、藤枝総合運動公園内に「スケートパーク場」を設置。伊豆の国市は10月から狩野川神島公園内にスケートボードエリアを設けるほか、浜松市や沼津市はスケボーなどが楽しめる新たな専用施設の整備を検討している。
 静岡県スポーツ振興課によると、自治体によっては練習場所がない現状があると認識した上で「競技の普及とともに、ルールを守って安全にスケボーを行うことの大切さも啓発していきたい」と話す。  公園利用 自治体苦慮 公共の練習場所9市  公共の公園におけるスケートボード利用のルールについて県や35市町の担当課に聞いたところ、いずれも「条例では(明文化して)禁止していない」と回答した。ただ、条例がなくても「安全の観点から遠慮を呼びかけている」というケースや、騒音による近隣住民からの苦情やタイル張りが割れるなどの理由から一部公園で使用を禁止する市町もあり、自治体によって対応が分かれた。   photo01
 公共の公園内にスケボー専用施設を設けたり、時間を制限した練習場所を提供したりするのは静岡や磐田など9市。掛川や下田などの担当者は「他の利用者に迷惑にならない範囲ならば可能」と説明した。
 一方、「過去にスケボー利用についての苦情はあったか」の問いには、半数超の18市町が「あった」と答えた。敷地内の舗装が削られたケースやベンチなどの設備が壊される被害もあったという。他の利用者からの苦情が寄せられた公園では、スケボーの使用禁止を呼びかける看板を立てたり、職員が声をかけたりするなどしてマナーを周知しているという。  静岡県警「状況によっては違反行為該当」  公道や駐車場など、舗装された場所でスケボーを楽しむことは許されているのだろうか。静岡県警交通企画課に問い合わせると、担当者は「直ちに違反とはならないものの、状況によっては違反行為に該当する」と話した。
 スケボーは「遊戯道具」に分類され、道交法第76条により「交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー・スケートをし、またはこれらに類する行為をすること」が禁止行為となっている。ただ、明確な基準は定められておらず、ケース・バイ・ケースが実情という。
 一方、遊具や手すりなどの公共物をスケボーで傷つけた場合は刑法の器物損壊罪に、立ち入りが禁止されている場所への侵入は軽犯罪法違反に、車両や歩行者に接触して相手にけがをさせた場合には道交法違反に問われる可能性がある。同課は決められた場所でのスケボー利用を呼びかける。
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