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静岡県民、震災への関心低下 全国アンケート【NEXT特捜隊】

 東日本大震災から10年。静岡新聞をはじめ読者参加型の調査報道に取り組む全国の地方紙でつくる「ジャーナリズム・オンデマンド(JOD)パートナーシップ」は、震災の教訓を次代につなぐため「#311jp」プロジェクトを企画しました。みなさんからご回答いただいた防災意識アンケートの結果を紹介します。(NEXT特捜隊)

あなたは東日本大震災にどの程度、関心を持っていますか
あなたは東日本大震災にどの程度、関心を持っていますか
ハザードマップを見たことがありますか
ハザードマップを見たことがありますか
あなたは東日本大震災にどの程度、関心を持っていますか
ハザードマップを見たことがありますか

 防災意識アンケートからは、同震災への静岡県民の関心が、他県民に比べて低下している現状が浮かんだ。県民意識調査でも南海トラフ地震への関心が低下傾向で、専門家は「これまでの地震対策の自負があり危機感が薄れているのでは」と警告する。
 同震災への関心度を尋ねたところ、最も高い「5」を選んだ静岡県回答者は42・6%にとどまった。被災3県(岩手、宮城、福島)の75・9%と30ポイント以上差がつき、全国(被災3県と静岡県を除く)の51・1%に比べても、10ポイント近く低かった。

 静岡県の県民意識調査でも、南海トラフ地震(東海地震)への関心度を尋ねる問いで最高の「非常に関心がある」を選んだ人は、東日本大震災のあった2011年には63・8%だったが、19年は41・6%にまで下がった。
 県は県民の意識向上に向けて21年度、居住地域の実情を踏まえて参加者一人一人が自らの避難計画を作るワークショップをモデル地区で開く予定だ。
 静岡大防災総合センターの岩田孝仁特任教授は、静岡県は南海トラフ地震の震源域の真上に位置すると改めて強調。避難、建物の耐震化、ブロック塀の改修などの基本的対策について「地震発生時をリアルに想像し、自分がどれだけ対策を取れているか、見直してほしい」と呼び掛ける。
 JODアンケートは無料通信アプリ「LINE」などで各紙のフォロワーらに呼び掛けた。無作為抽出の世論調査ではない。40都道府県から1699人(うち静岡県は94人、被災3県は166人)が回答した。

 

■「津波てんでんこ」聞いたことない 静岡県34% 教訓の共有不十分



 
「津波てんでんこ」を知っていますか



 
家族がばらばらに逃げた後、落ち合う場所を決めていますか

 

 防災意識アンケートからは、東日本大震災の教訓が、全国で十分には生かされていない現状がうかがえた。
 同震災では、津波からは一人一人がてんでんばらばらに逃げろという三陸地方の教え「津波てんでんこ」が教訓として注目された。津波てんでんこを「聞いたことがない」人は被災3県(岩手、宮城、福島)で13.3%にとどまった。一方、静岡県で34.0%、全国(被災3県と静岡県を除く)では41.5%で、被災3県との間に差がついた。
 逃げた後の集合場所を家族で決めていない人は被災3県で51.8%、静岡県は58.5%、全国60.9%といずれも過半数を占めた。携帯電話の不通で連絡が取れず、再会に苦労した震災の経験が被災地も含めて生かされていないのが実情だ。
 災害時の避難場所を「知っている」人は被災3県92.8%、静岡県87.2%、全国85.3%といずれも高く、備えの意識は浸透していた。ただ居住地の災害リスクの把握に欠かせないハザードマップの内容を「理解している」は被災3県45.8%、静岡県は39.4%、全国36.7%にとどまった。
 東北大災害科学国際研究所の佐藤翔輔准教授(災害情報学)は「避難後の集合場所を決めておくことは震災の重要な教訓。津波てんでんこと一緒に浸透するのが理想だ」と指摘。ハザードマップの理解度が低いことに「避難所を知っていても、災害によっては対応していない可能性がある。マップできちんと確認してほしい」と注意を促す。
 

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