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特集 : NEXT特捜隊

読者の声に寄り添い取材 ともに探り、深まる共感 NEXT特捜隊スタートから半年 他地方紙と記事交換も

 読者と記者のコミュニケーションを通じて育む調査報道企画「NEXT特捜隊 あなたの疑問調べます(N特)」がスタートから半年を迎えました。LINEや電子メールなどを通じて寄せられた情報や疑問、依頼に基づいて、本紙チーム・ネクスト編集委員が取材・調査を進め、これまで続報も含めて21本の記事を掲載しました。今後も、数多く寄せられる皆さまからの声を大切にし、記事を届けていきたいと考えています。
 ■日常の疑問、長年の謎…
 N特は、読者が普段の生活で感じた「これ、気になる…」「おかしくないかな…」「もっと知りたい…」という疑問に記者が寄り添い、一緒に解決を目指したい―という思いを込めて始めました。
 第1号の記事は、5月20日付朝刊の「自転車路面標示 走行『怖い』」。「矢羽根標示がある道路を自転車で走っていたら、怖い目にあった」という静岡市駿河区の女性の声を元に、取材を進めました。
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 N特のLINEや電子メールにはこの半年間、今も続く新型コロナ禍に関する不安、「地区の3小学校の校歌が同じなのはなぜ」などの身近な疑問、「(性的指向と性自認を表す)SOGIについて広く知ってほしい」という当事者からの訴えなどさまざまな声が寄せられました。記者は読者と直接やりとりしながら共感を深め、執筆しました。
  特別定額給付金の使い道や発足直後の菅義偉内閣の評価に対する生の声を聞こうと、LINEアンケートも試みました。

 ■他地方紙と記事交換も
 N特は同様の取り組みをする全国の地方紙とパートナー協定(ジャーナリズム・オンデマンド=JOD=パートナーシップ)を結んでいます。これまでに京都新聞や西日本新聞が取材した記事計2本を本紙に掲載しました。逆に本紙が取材し、6月に掲載した「コロナ差別 ハンセン病元患者『また同じ過ち』」は岩手日報(岩手県)に、9月掲載の「富士山『合目』の意味は?」は河北新報(宮城県)、西日本新聞(福岡県)などに載りました。
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 紙面に掲載された直後から、LINEなどで「興味深く読みました」「考えさせられました」などさまざまな声が寄せられ、記者の励みにもなっています。
 これからも一人一人の声を大切に、つながりを深め、私たちのふるさとしずおかの未来を共に考えていきたいと思います。

 ■地域密着の記者も新たな発見
 メディアコンサルタント 古田大輔さんに聞きました


 N特をはじめとするJOD加盟社が手掛ける調査報道の特徴として読者との双方向性を挙げたい。幅広い年代の人たちが毎日使っているLINEを活用することで、1対1で、気軽にかつ直接的なやりとりが可能になった。
 世界のマスメディアで信頼性の確保が課題になっている。読者に寄り添いながら、疑問や悩みに応え、解決していく様子を目にすることが、メディアへの親近感を高め、ひいては信頼性の醸成につながると考える。
 これまでの掲載記事を読んで、興味深いと感じた記事がいくつかあった。例えば、「コロナ禍の母子家庭『家賃払えぬ』悲鳴」で登場する取材対象は、従来だと出会うこと自体難しく、取材に応じてもらえるかも分からなかっただろう。でも、N特であれば、読者からの悩みに応えるという形で、その声を丹念に拾い上げることができる。「浅羽3小学校 同じ校歌なぜ?」では、情報提供がなければ忘れられていたかもしれない地域の歴史を呼び起こした。地域に根差した記者でも気付けないことを教えてくれる事例だ。
 記者の大半は、担当する分野の専門家から、どれだけ話を聞くかに取材の出発点を置く。読者の疑問に耳を傾けることを出発点に、さまざまな人から話を聞き込んでいくN特のスタイルは、読者に寄り添うという取材姿勢を記者自身が再認識するきっかけになるのではないかと期待している。
 

furuta

  ふるた・だいすけ 1977年福岡県生まれ。朝日新聞、バズフィード・ジャパン編集長を経て、2019年6月にメディアコラボを設立。フリーランスのジャーナリスト、メディアコンサルタントも務める。

いい茶0

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