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特集 : NEXT特捜隊

働き方改革と子育て支援に取り組む 中川由香さん(静岡市)【NEXT特捜隊 あの人に聞きたい】

 シングルマザーに仕事を提供する経営者石光(せき・ひかり)さん(37)=静岡市駿河区=から、「育児に悩むスタッフに、いつも具体的な解決策を示してくれる経営者仲間がいる。ぜひ話を聞いてほしい」との便りが届いた。藤枝市のドラム缶製造業富士エコティック取締役の中川由香さん(40)。息子の育児と社員育成の経験から、心理学や、見る力を鍛えて脳や運動機能の向上につなげる「ビジョントレーニング」を学び、ウェブサイトなどで発信。5月には藤枝市で幼児と小学生向けの教室を開講する。思いを聞いた。

中川由香さん
中川由香さん


 ■育児と社員管理に学ぶ
 小学3年の息子は3歳の頃、食べるものや着るものに強いこだわりがありました。語彙(ごい)力がずばぬけて高い半面、自分なりのルールを守ろうとしてかたくなになるなど、できることとできないことの差が激しい時期でした。
 息子の子育てに悩み始めた当時、会社では、社員の残業時間を減らして生産性を上げる改革に取り組んでいました。社員の中には、手や体を動かすのは得意な半面、日報を出すのは苦手な人、日々同じ業務を正確にこなせるのに変則的な業務に対応できない人などがいました。
 人の能力には凹凸がある。周りが理解して支援すれば、彼らの良さを発揮させられることを、息子と社員から学びました。

 ■子の笑顔取り戻す決意
 働き方改革では、社員の業務をサポートするICT機器を導入し、形式的に続けていた朝礼や日報をやめました。一人一人の得手不得手を認めた上で、強みを生かせる業務を割り当てると、会社全体がうまく回るようになりました。
 一方、息子は2年前に入学して間もなく、登校できなくなりました。天真らんまんだった子が朝起きられなくなり、「行きたくない」と涙をためて言う。母子登校を1年間続けましたが、息子の気分は沈んだままでした。
 学校などに相談しても、具体的にどうすれば私たちは苦しみから抜け出せるのか、道筋は見えません。だから自分で実践できることを学び、息子の笑顔を再び取り戻すと決めました。

 ■接し方が未来を変える
 社員なら雇用主が、子どもなら親が、本人の特性を知っているかどうかで接し方は変わります。接し方が変われば、本人の未来が変わるんです。「だめなやつだ」と見限ってはいけない。特に子どもは、大人が何げなく発した一言がきっかけで自己否定したり、夢を諦めたりすることがあります。「やってみたい」「頑張ってみたい」と思わせる声掛けが大切です。
 情報サイトを通じた発信も、これから開く教室も、自分が学んで知ったこと、効果を実感したことを、ただ皆さんに広めたいという思いが原点です。インターネット上にあふれるネガティブな情報に振り回されないでほしい。子どもの好きなこと、得意なことを見つけ、できないことは一緒に考える場をつくりたいです。

 <profile>
 なかがわ・ゆか 静岡市内でダンススタジオ経営後、32歳で出産、離婚。家族が経営する富士エコティックで社員が働きやすい環境づくりに努め、2018年度県働き方改革アワード生産性向上部門賞受賞。19年から取締役。21年、子の学びや育ちに関する情報サイト「トランスフォーム・プロジェクト」設立。日本ビジョントレーニング協会プロフェッショナルトレーナー。心理系の国際認定資格も複数持つ。

 ※身近にいる変わった特技を持った人、ユニークな活動を展開している人、近所で知る人ぞ知る有名人…。多くの人に知ってほしい「あの人」をあなたに代わって訪ねます。情報と、聞いてみたい質問をお寄せください。
 

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