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特集 : NEXT特捜隊

もったいない給食の残食 発電、肥料…活用広がる【NEXT特捜隊】

 読者の疑問や困り事に応える静岡新聞社「NEXT特捜隊」に、静岡市駿河区に住む30代の公立中教員から「給食の大量の食べ残しに胸を痛めています」とメッセージが寄せられた。まずは、全国、静岡県内の現状を調べることから始め、「残食」を取り巻く背景や課題を探った。【記事の最後に動画があります】

 

1人年間7.1キロ


 環境省が2015年、全国の市区町村教育委員会に行った調査によると、給食の食べ残し割合「残食率」は約3割の自治体が把握していて、平均値は約6.9%だった。重さにすると、子ども1人当たり年間7.1キロと推計されるという。
 県内の全35市町にも聞いた。残食率を自治体として把握していると回答したのは13の市町。1~10%と開きがあった。ただし、「副菜のみ」「特定の月のみ」など、計測対象や期間がバラバラで、単純比較はできない。完食を強要する「完食指導」につながる懸念や新型コロナ禍を理由に、残食を計測していない市町もあった。

 

課題示し啓発


 残食が多いなら、前もって配膳量を減らすことはできないのだろうか。文部科学省は子どもに望ましい栄養量を算出した「学校給食摂取基準」を示している。基準は弾力的に運用するものとされているが、基本となる。成長に必要な栄養が考慮されたもの故に、極端に減らすことは現実的ではなさそうだ。
 給食の食べ残しをはじめ、食べられるはずなのに廃棄される「食品ロス」。食料が無駄になる▽生産や調理してくれた人に申し訳ない▽多額の処理コストがかかる―など、多くの理由から世界的な課題となっている。こうした状況を受けて県廃棄物リサイクル課は2020年度から、各地の小中学校で食品ロス削減授業を行っている。

  photo01 「なるべく食べきる」など、残食減の工夫を話し合う児童=掛川市立第二小

 掛川市立第二小の4年生のクラスで2021年12月に行われた授業。ある日このクラスで残された給食の写真が黒板に貼り出されると、児童は「もったいない」と驚きの声を上げた。運搬時や焼却処分時に二酸化炭素が排出されるため、食べ残しが地球温暖化の一因となることの説明を受けた。「苦手という理由だけで残さない」など決意を確認した。
 成長のため適正量を食べるのが理想だが、全員が毎日食べきれるとは限らない。コロナ禍で会話をせずに食べる「黙食」や、おかわり禁止が徹底されている学校もあり、多くの市町の担当者が「残食は増えている」と話した。

 

バイオガス発電の燃料に


 そんな中、食べきる以外の活用も進んでいる。「全公立小中の残食は肥料化して学校菜園などで使用している」(富士市)をはじめ、12市町が肥料や堆肥にしていると回答した。御殿場市は主食残飯の大半を家畜の飼料にしているという。

  photo01   photo01 運び込まれた食べ残しと調理残さ。発電などに利用される=菊川市の鈴与菊川バイオガスプラント

 菊川市は2020年度から、食品残渣(ざんさ)を発酵させて生成するバイオガスを発電燃料として活用している。豚熱対策で飼料化するのが難しくなったのがきっかけ。脱炭素の観点から焼却処分ではなく、発電利用を決めたという。
 鈴与商事が運営する菊川市西方の鈴与菊川バイオガスプラントを取材した。
 小中学校など16施設の残食と調理くず計約200キロは到着後すぐ、生ごみ処理機で液状化された。その後、発酵槽に投入され、生成されたバイオガスに含まれるメタンガスが発電燃料となる。この他、発電で発生した熱、二酸化炭素、メタンガス回収後の残りかすは農業利用が進む。今後、用途拡大を目指しているという。
 ただ、食べ残しを廃棄している自治体も少なくない。再生利用の用途拡大を図る一方で、食育や食品ロス削減の啓発を進めて食べ残し自体を抑える。「残食」問題の解消には、両輪の取り組み強化が求められている。

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