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内申点、中学校ごとに公平? 浜松市の保護者から疑問【NEXT特捜隊】

 「高校入試で大きなハードルとなる調査書の内申点。付け方は中学校ごとに公平なのでしょうか」。浜松市の受験生の父親みつるさん(50代)から、読者の疑問に応える静岡新聞社「NEXT特捜隊」に投稿が寄せられた。そもそも内申点はどのように決まるのか。公平と言えるのか。

中学校の学習評価の仕組み(例)
中学校の学習評価の仕組み(例)
東京都教委は学校名を伏せた上、都内の各中学ごとの評定割合を公開している(同教委のウェブサイトより)
東京都教委は学校名を伏せた上、都内の各中学ごとの評定割合を公開している(同教委のウェブサイトより)
中学校の学習評価の仕組み(例)
東京都教委は学校名を伏せた上、都内の各中学ごとの評定割合を公開している(同教委のウェブサイトより)

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 内申点とは、中学が高校へ送る調査書に記載される9教科の評定の合計を指す。評定は各教科とも「1」~「5」の数字で示され「5」が最高評価だ。基本的には通信簿と同じ数字が記載され、静岡県では中学3年の1、2学期の学習状況が反映される。
 入試での評定の活用方法は都道府県により異なる。静岡県では現在、県立高校志願者の半数以上が対象の「共通枠」で使われている。静岡県教委は早ければ2026年度から、入試における調査書(評定)や学力検査の比重を決める各高校の裁量を拡大する方向で検討中だが、評定は引き続き入試で活用される見込みだ。
 そもそも評定はどう決まるのか。現在の評価方法はいわゆる「絶対評価」。集団内での相対的な位置づけを示す「相対評価」ではない。生徒一人一人が学習指導要領が示す目標をどれだけ実現しているかを評価する。このため理論上は、目標を達成していればクラス全員が評定「5」ということもあり得る。
 静岡県教委高校教育課によると、中学では全教科ともまず「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点について、A(十分満足できる)、B(おおむね満足できる)、C(努力を要する)の3段階で評価する。これを踏まえて評定の数字が決まるという。ただ、何をもって観点別評価をABCとするのか、それをいかに評定の数字に換算するかは学校ごとに定める仕組みとなっている。
浜松市教委「評定 大きなずれない」  それでは学校間で評定にばらつきが出るのでは。疑問に対し、みつるさんの住む浜松市教委指導課は「学校ごとに評定が大きくずれることはない」との見解を示す。観点別評価や評定への換算方法の基本的な考え方が文科省や国立教育政策研究所から示されていて、市教委でも学習評価の研修動画を教諭向けネットワークで公開していることなどを理由として挙げる。
 また、市教委は各校の評価が適切であるか確認するため、各中学の評定の傾向を把握していて「これまで不適切な事例は確認されていない」(同課)という。
保護者「根拠 丁寧に説明を」  ただ、みつるさんは「保護者の間では『○○中学は評価が甘い、××中学は評価が辛い』と言われている」と明かす。「全県を対象にしたテストの点数が同じ生徒同士でも、学校により評定にばらつきがある」とも。評定の仕組みについて学校から事前説明を受けたものの、後から知った基準もあり「評定の結果が公平だと言える根拠をより丁寧に説明して」と注文する。
(鈴木美晴)

東京都教委は個別の状況公開  教育現場で長年の課題となっている評定の信頼性を高めるため、見える化を進める事例もある。
 東京都教委は毎年、一定規模以上の都内公立中3年における評定の状況をウェブサイトで公開している。学校名は伏せているが、中学ごとに全教科について評定「1」~「5」それぞれの割合を掲載。評定「1」のない学校、「5」の割合が50%以上の教科のある学校など、調査結果も示している。都教委の担当者は「適正な評価が行われているか数字を公表して客観性、信頼性の確保に役立てている」と説明する。
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