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マスク「状況に応じて」4割 感染時の不安「後遺症」最多 静岡新聞社アンケート【NEXT特捜隊】

 読者と双方向の報道に取り組む静岡新聞社「NEXT特捜隊」は2~7日、新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類に移行するのに合わせ、マスク着脱の意向やウイルスへの警戒感を尋ねるアンケートを実施した。厚生労働省が「個人の判断が基本」とするマスク着用は「場所や状況に応じて判断したい」が「外したい」「着けたい」を上回った。感染症法上の扱いは変わっても後遺症に対する不安の声は根強く、感染対策への考え方やリスクの捉え方は多様であることがうかがえる。
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 紙面のほかLINEとツイッターでアンケートフォームへの記入を呼びかけ、283人から回答を得た。マスクを「できれば外したい」としたのは30・0%(85人)、「できれば着けたい」は18・0%(51人)。「場所や状況に応じて主体的に判断したい」が43・8%(124人)と最多だった。「その他」を選択した23人中19人は、「外している」または「不要」と答えた。
 外したい理由は「マスクを着けていないのが自然だから」が最も多く、「不快だから」「社会全体への影響が心配だから」が続いた。着けたい理由は多い順に、「あらゆる感染症の感染を防ぎたいから」「新型コロナ感染を防ぎたいから」「着用は周りへの気遣いだから」だった。
 今後感染した場合に心配なことは何か、当てはまるものを全て選んでもらうと、「後遺症が残る」が59・0%(167人)に上った。次いで、自分と、自分以外の人の生活に影響が及ぶことを懸念する意見が続いた。「心配なことはない」を選んだのは16・3%(46人)だった。

リスク対策認識に個人差
  静岡新聞社「NEXT特捜隊」が新型コロナウイルスの「5類移行」直前に行ったアンケートでは、ウイルスへの警戒感のほか、感染対策に対する考えも尋ね、自由記述でこの3年を振り返ってもらった。実際にかかった時の症状の軽重や、持病など重症化リスクの有無、家族構成、勤務先の事情…。回答者は283人で、経験や生活環境によって受け止めはさまざまだ。
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 新型コロナに「絶対に感染したくない」と答えたのは42・4%(120人)。「感染してもやむを得ない」は24・0%(68人)だった。感染対策については、手指消毒を「継続すべき」との考えが4割を超えた一方、面会制限や子のマスク着用などは意見が分かれた。
 5類移行の時期は「時期尚早」が27・6%(78人)、「もっと早く移行すべきだった」が24・0%(68人)、「特別な感染症として扱う必要はない」は10・6%(30人)だった。
 任意で記述を求めた三つの質問には、それぞれ約200人が回答した。

 支援偏り 指摘の声
 【国や自治体のコロナ政策、学校、施設などのコロナ対応】
 一部の業界に支援が偏ったとの見方が複数あった。病床確保や飲食店への協力金など予算の使い道が適正だったか疑問視する声も。静岡市の接客業女性(47)は旅行支援を挙げ、「恩恵を受ける人、受けない人の差はなくすべき」と指摘した。
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 三島市の女性(66)は「家族が濃厚接触者や体調不良になると、孫が学校や保育園を休まなければならず、私たちが子守を全てやった」と振り返った。伊豆の国市の教員男性(65)は「毎朝、生徒の体温を確認するのが大変だった」とした。
 高齢者の家族は、病院や施設での面会制限によって、本人の認知機能の衰えを実感したという。学校での黙食やマスク着用が子どもたちに負の影響を与えると心配する声も目立った。ワクチンについては、接種の広がりを評価する人と、「半ば強要された」などと不信感を抱いている人とで、受け止め方が割れた。

 「人生の節目に制約」後悔
 【悲しかったこと、つらかったこと、理不尽だと思ったこと】
 面会制限のほか、みとりや葬儀、出産、子どもの修学旅行など人生の節目が制約を受け、家族や親しい人と悲しみや喜びを分かち合えなかったことを悔やむ回答が目立った。
 妻の妊娠から出産まで、立ち会いや面会がほぼできなかった県外在住の会社員男性(34)は「(病院で)父親は常にばい菌扱いだった」と憤る。浜松市の公務員女性(40)は「祖母が最期を迎える数日前、老人ホームの玄関でビニール越しにマイクで会話。普通の声で話すことも触れることもできなかった」と記した。
 流行初期に脳梗塞で入院した小山町の女性(52)は回復の機会を奪われたと感じている。「数メートルしか歩けないのに強制退院。リハビリ施設にも受け入れてもらえず、今も後遺症に苦しんでいる。あの時にもう少しやれることがあったのでは」と割り切れない。
 医療従事者や自治体職員、販売業の従業員は、業務中に誹謗[ひぼう]中傷を受けたり、罵倒されたりした経験をつづった。体質や持病でマスクを着けられなかった人は「(人目が気になり)外出が怖かった」、島田市の会社員女性(39)は「学校行事の中止や縮小で、落ち込む子を見るのがつらかった」と訴えた。

 働き方、生活再考の機会に
 【コロナ下だからこその気付きや改善点】
 マスク、手洗い、うがいや体力の維持は、他の感染症予防にも有効だと再認識した-との意見が多かった。静岡市の会社員男性(56)は「体調が悪い時に休みやすくなった」と評価した。
 学生や働く世代は、オンライン会議の普及を歓迎した。焼津市の大学生女性(19)は「オンライン授業と録画配信が増えて便利。復習しやすい」。沼津市の不動産業男性(49)は「テレワークができると気付いた。舞台、コンサートのネット配信が進んだ」とした。時間にゆとりが生まれたと実感した人もいた。自治会やPTA活動の縮小について、浜松市の女性(39)は「直接集まる機会が減り、本当に必要な活動か見直すきっかけになった」と前向きに受け止めた。 photo01
 一方で、直接のコミュニケーションの大切さを痛感したとの声も。掛川市の会社員男性(54)は「やはり対面でのコミュニケーションが大事。画面越しでは物足りない」とした。「情報は自分で取りに行かないと真実は見えてこないと分かった」(静岡市の女性)との声や、エッセンシャルワーカーへの感謝も寄せられた。

アンケートの概要  2~7日、静岡新聞の紙面とLINE、ツイッターを通じてフォームに記入してもらう形で実施。回答者283人の内訳は県内在住者92.2%(261人)。女性63.6%(180人)、男性34.6%(98人)、その他1.8%(5人)。年齢は12~88歳。世代別は50代が29.3%(83人)、40代が29.0%(82人)、60代が18.0%(51人)、30代が12.7%(36人)など。

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