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特集 : NEXT特捜隊

あの人に聞きたい/SPAC俳優 石井萌水さん(静岡市駿河区)【NEXT特捜隊】

 今月の「あの人に聞きたい」は、県舞台芸術センター(SPAC)の作品に多く出演する浜松市出身の舞台俳優石井萌水[もえみ]さん(33)。「SPAC以外にもいろいろ活動をしているそう。詳しく知りたい」との依頼を受け、5月2日に静岡市の駿府城公園で開幕する舞台「アンティゴネ」の本番に向け、稽古に励む石井さんを訪ねた。あふれる演劇愛に根ざしたその活動とは―。(西條朋子)

石井萌水さん(静岡市駿河区)
石井萌水さん(静岡市駿河区)


■演劇に親しみ持って
 今度の舞台「アンティゴネ」はフランスとアメリカで上演してきましたが、連日驚くほど多くの観客が入り、ニューヨークではチケットが高額で転売されていました。本番も「楽しむぞ」という客席の空気がすごかった。
 でも、日本にはそこまで演劇は根付いていませんし、SPACの芸術性に距離を感じる人もいると思います。演劇に親しみを持ってもらいたいと思い、まずはエンターテインメントとして楽しんでもらおうと、「チームモカ」というプロデュース集団を主宰し、まちなかで演劇イベントを開いてきました。
 観客を巻き込む即興演劇や一人芝居など、新型コロナウイルス感染症の流行以前は狭い会場で客席と一体になって、昨年からはリモートも取り入れて新しい形を模索しています。

■物心ついた頃から
 小学校低学年頃にはもう、お芝居を仕事にしたいと思っていました。両親はいわゆるヒッピー文化の影響を受けて、ヨガとか自然食とか当時としてはまだ珍しいものが好きで。野外フェスみたいなものにも連れて行かれて、パフォーマンスが身近にありました。
 でも、家にお金がなくて、俳優養成所などには行けなくて。地元の市民劇団の児童部みたいなところに入れてもらったのが小学5年生の時。その後、浜松市が企画した市民演劇に参加し、指導や演出を担当したSPACのOBに出会いました。SPACの舞台を初めて見たのは中学2年の時。舞台に立ち現れる「完璧な空間」の力に圧倒されました。

■本気で「夢は主役」
 SPACのユーチューブチャンネル内に2017年から「石井萌水は主役になりたい!」という番組を持っています。ゲストを招いて上演作品や舞台演劇の魅力を地道に紹介していますが、タイトルは本気。SPAC作品の主演は夢です。
 舞台「アンティゴネ」の登場人物29人は、全員が「魂」。わたしは大勢の魂の中の1人ですが、狂言回し的な役割のほか、打楽器のリズムを合わせるため、見えないところで仕事もしています。
 海外公演を終えた凱旋[がいせん]公演として、昨年上演を予定していましたがコロナ禍で今年に延期となりました。駿府城公園という日常の場に、壮大な異世界が出現するのを楽しんでほしいと思います。

 <profile>
 いしい・もえみ 2004年に市民参加の「忠臣蔵」でSPAC初舞台を踏む。09年から県内出身者として初のSPAC俳優に。「病は気から」「マハーバーラタ」など出演作多数。コロナ禍の20年は福祉施設などに出向いて窓の外から電波に乗せて声を届ける「出張ラジヲ(ラジオ)局」も担当した。浜松城南高(現浜松大平台高)の定時制をアルバイトしながら自力で卒業した苦労人。

 身近にいる変わった特技を持った人、ユニークな活動を展開している人、近所で知る人ぞ知る有名人…。多くの人に知ってほしい「あの人」をあなたに代わって訪ねます。情報と、聞いてみたい質問をお寄せください。

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