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クマ出没、山にエサ計画 ドングリ広葉樹を倍増【ふくい特報班】

 2年連続でクマが大量出没している福井県内。「エサが不足しているなら山中にドングリがなる木を植栽しては?」。福井新聞の調査報道「ふくい特報班」(通称・ふく特)に、そんな声が寄せられた。県に聞くと、ドングリが実る広葉樹を針葉樹林に増やす「針広混交林」の拡大は既に進められており、2024年度には現在の倍以上の2300ヘクタールになる計画という。(福井新聞)

福井県内の森林で広葉樹を増やすイメージ
福井県内の森林で広葉樹を増やすイメージ

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  ドングリは奥山なら主にブナやミズナラ、標高が比較的低い場所はコナラなどに実る。クマの大量出没はこれらの実りが悪かったことが原因だ。広葉樹の植栽について県自然環境課は「ドングリの豊凶の仕組みは十分に分かっておらず、クマの人身被害対策としては今後の研究課題」とする。
  スギなど針葉樹林の針広混交林化は、木材需要の低迷なども背景に10年以上前から進められている。スギを列状に伐採し光が差し込むようにすることで、自然に広葉樹を増やす。
  県は「ふくいの森林・林業基本計画」で、昨年度960ヘクタールだった針広混交林を、24年度に2300ヘクタールとする構想を描く。県内の民有林は半分近い12万ヘクタールがスギなどの人工林。将来的にはそのうち奥山に当たる7万ヘクタールを、広葉樹も生えた多様な森にする考えだ。
  民間でも県内各地で広葉樹の植栽が行われており、大野市では森林保全団体が苗木を育て、山に植樹するボランティア活動が長年続けられている。
  広葉樹にはドングリが実らないものも含まれるが、針葉樹だけに比べればクマのエサは増える。ただ長い時間が必要で、クマの出没が11月にかけてピークになると考えられることから、県自然環境課は「集落の柿や栗を早期に収穫し、朝夕は出歩かないなど、対策を取ってほしい」と当面の注意徹底を呼び掛けている。
 
 ■静岡県でも目撃 果樹管理ご注意
 静岡県自然保護課によると、静岡県内のクマの目撃例は年間20~30件ほどで、他県に比べると人里へ下りてくる事例は少ないという。担当者は理由に、クマの好むドングリの実るブナやコナラなどが、本県の生息域とみられる南アルプスや富士山周辺にまとまって生えていないことを挙げる。
 ただ、2020年は夏から秋にかけて静岡市北部や焼津市など山間地で、クマの目撃情報が相次いでいる。担当者は、山間地の集落にある柿やキウイ、ペットのエサのにおいが、クマを呼び込む可能性があるとみて「不要な果実は捨てるなど果樹の管理を徹底してほしい」と呼び掛けている。

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