給食に緑茶は出ていましたか? 静岡県内でも実は地域差 茶産地間で濃淡も【NEXT特捜隊】
かつて旧清水市(静岡市清水区)や浜松市に住んでいた30代主婦=山形市=から「清水の小学校では、毎日給食で緑茶を飲んでいました。浜松に引っ越すと、給食時の緑茶はありませんでした。どの範囲で学校給食に緑茶が出されているのでしょうか。気になります!」との投稿が届いた。
さっそく静岡県内全35市町に小中学校の給食で緑茶を提供しているか尋ねた。
■静岡市と浜松市の現在の状況は
本山や清水のお茶で知られる静岡市は、市内産茶葉を使用した紙パックの緑茶を年5回給食時に、市立小中学校で提供している。学校給食課によると、数年前までやかんで緑茶を出す学校も多かったが、設備上の都合や衛生面などを考慮し、現在は提供していないという。
浜松市も地産地消の一環で、紙パックの緑茶を給食時に年2回出している。担当課によると、やかんによる提供は把握していないという。
■志太榛原地域 やかんで出す自治体目立つ 蛇口から飲める学校も
茶どころで知られる島田市は基本的に全小中学校でやかんに入れた緑茶を出している。学校給食課の担当者は「当たり前だと思っていた」といい、少なくとも30年以上前から続いているという。また、ユニークな取り組みとして、蛇口から緑茶が出る学校もある。2006年度に初めて導入し、現在は市内の小学校4校、中学校2校で運用している。提供するのは冷茶で、稼働期間は5~7月と9~10月。

近隣の藤枝市や牧之原市、川根本町でも、やかんによる緑茶提供が長年続いている。地元の生産者や茶商から購入したり、寄付を受けたりしている。焼津市は一部の小学校でやかんで緑茶を提供している。
■ティーバッグでの提供や給茶機のある学校も 一大産地の中遠地域
一大産地の一つである中遠地域に目を向けると、掛川市や森町ではティーバッグを使用している。菊川市の全小中学校や御前崎市の小学校では、やかんなどで児童生徒が緑茶を飲んでいる。袋井市の場合、全ての小学校に緑茶が出る給茶機があり、地元産の粉茶を使用している。担当課によると、高速道路のサービスエリア内のフードコートに設置しているようなものだという。磐田市は周囲が茶畑で囲まれた大藤小が、地元茶農家から寄付された茶葉を使い、給食時に緑茶を出している。
提供している各自治体に理由を尋ねると、「緑茶文化や地元産業への理解・消費促進」などの声が多かった。
■異なる様相 東部・伊豆など 緑茶提供の習慣薄く
東部・伊豆地域を調べると、中部・西部地域との違いがはっきり。学校で緑茶を提供する自治体は少なかった。富士市は給食では出していないが、全小学校に給茶機があり、緑茶を飲むことができる。それ以外の自治体はほとんど習慣がなく、御殿場市が給食で年3回提供しているぐらいだった。御殿場市の場合、アレルギー対応給食の日として、牛乳に代わって提供し、児童生徒が同じ給食を食べられるようにすることが目的だという。
富士宮市は緑茶の提供を検討したこともあったが、市内全小中学校分をまかなえるだけの紙パック飲料を提供できる業者が見つからなかった。西伊豆町はかつて提供していたという。
各自治体の学校での緑茶の提供状況を見ると、いわゆる茶産地と概ね提供地域が一致していることが分かった。

投稿者の女性に伝えると、「思ったよりも提供している地域が少なくて驚きです。給食の時に、やかんでお茶を飲んだのが楽しい思い出になっています。今でも食事の際は緑茶が飲みたくなるので、子どもの頃の習慣が身に付いていると思います」と振り返った。その上で、「給食を通じ、さらに静岡茶の普及につながればと感じています。今後も静岡茶をたくさん飲んで応援したいと思います」と話した。
※調査は各自治体の教育委員会や学校給食の担当課に尋ねました。自治体によっては全ての公立学校の提供状況を把握していない可能性があります。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響で一部学校で提供状況が異なる場合があります。
学校給食の緑茶 エピソード募集しています※締め切りました
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