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被災地支援の募金が手数料名目で一部使われているって本当?【NEXT特捜隊】

 読者から寄せられた疑問について調べる静岡新聞社「NEXT特捜隊」に、静岡市葵区の50代女性会社員から「被災地支援の募金」について質問が届いた。女性は過去に「募金に応じたとしても手数料名目でお金が使われ、困っている人の元に届くのは集まった金額の半分」などと聞いたとし、「集まった募金はどのように被災者に届くのでしょうか」と尋ねた。能登半島地震の被災地支援で改めて注目される寄付の流れを取材した。(デジタル編集部・金沢元気)

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窓口の団体 「全額を送金」
>>義援金と支援金
 被災地支援の寄付は「義援金」と「支援金」の2種類に大きく分かれる。
 「義援金」は救援金とも言われ、見舞金のように直接、被災者に現金が届く一般的な手法だ。浄財は被災した都道府県が設置する義援金分配委員会で、被害状況や被災者数に応じて公平に分配する。被災者に直接支援が配分される利点があるのに対し、大規模災害時は被災者に届くまでに時間がかかる欠点がある。
 「支援金」は人命救助や物資提供を行う支援団体の活動資金となる。各団体による運用は自由度が高く、被災者のニーズに迅速に対応できるメリットがある。一方、支援金の中にはどの団体が募集しているのか分かりにくいケースもあり、寄付が有効活用されるのか見極める必要がある。
 義援金は被災自治体に直接届ける方法や、日本赤十字社などの窓口を通じて送る方法がある。支援金はNPOやボランティア団体に直接寄付するほか、「赤い羽根」で知られる中央共同募金会などを通じて寄付するケースがある。
 静岡県共同募金会の藤原由佳子事務局長は募金する際に、「どこの団体を通じて届けるのか。聞いて信頼できる団体かを知るのが重要」との考えを示す。それでも不安な場合、「石川県などの被災自治体が募っている口座などに直接振り込むこと」を提案する。 photo01 被災地支援の寄付金の流れと、主な寄付先

>>寄付の流れと透明性
 能登半島地震をめぐり、X(旧ツイッター)では寄付金の流れや使途に関する投稿も数多くみられる。中には特定の団体を挙げて「経由したら義援金が中抜きされる」としたり、「募金=ピンハネされる」などの疑念を持ったりする声も上がっている。
 県内で主に義援金窓口を設ける「日本赤十字社静岡県支部」「静岡県共同募金会」「静岡新聞・静岡放送文化福祉事業団」などに問い合わせたところ、いずれも「全額送金する」と明言した。銀行が送金手数料を無料にしたり、団体が募金にかかる人件費などを負担したりしているという。
 義援金の使い道は被災した都道府県ホームページで確認できる。2016年4月発生の熊本地震では、甚大な被害を受けた熊本県に対し、21年3月末までに総額約536億円の義援金が寄せられた。最終的には住宅の全壊世帯に87万6278円、重傷者1人に10万円などと配分の基準と方針も掲載する。能登半島地震については今後、配分委員会が設置され、配分方針などを話し合うという。支援金は各団体ホームページで確認できる。
 調査結果について疑問を寄せた女性に伝えると「それでも、まだ不安がある」と漏らしつつも、「身近な募金から調べた上で、寄付してみようと思います」と話した。

ふるさと納税でも
 能登半島地震では、ふるさと納税を通じた寄付も広がっている。仲介サイトでは被災自治体を支援しようと、特設ページを設けて寄付を呼びかける。
 主要サイトのうち、「ふるさとチョイス」に約14億6000万円、「楽天ふるさと納税」に約12億7000万円、「さとふる」に約11億3000万円が寄せられた(22日正午時点)。特設ページでは被災自治体が返礼品なしで寄付を募り、寄付金は全額が復旧や復興に充てられる。
 さらに「ふるさとチョイス」などは支援の一環として、被災自治体に変わって別の自治体が寄付の受付代行をする「代理寄付」も導入した。
 代理寄付は通常、寄付金を受け取る自治体が行う受領証発行などの事務手続きを、被災していない別の自治体が代行する仕組み。被災自治体は災害対策に集中できるなどのメリットがある。

詐欺に注意
 寄付するときに気をつけたいのは、被災地支援を装った寄付金詐欺だ。過去の災害では、公的機関を名乗って金をだまし取ろうとするケースがあった。能登半島地震でも、不審電話の事例などが報告されている。
 金融庁によると、有名なボランティア団体を名乗って偽の口座に義援金を振り込ませようとしたり、交流サイト(SNS)で存在しない住所を示して救助された報告とともに活動のために寄付を求めたりするケースがあった。スマホ決済アプリのPayPay(ペイペイ)は被災者を名乗って義援金を募る投稿について、詐欺の可能性があるとして注意を呼びかけている。

義援金
 ●石川県
 【名称、口座名義】石川県令和6年能登半島地震災害義援金
 【受付期間】   12月27日まで
 【振込先】    北国銀行県庁支店(普通)28593
          ゆうちょ銀行・郵便局00100-8-452361

 ●日本赤十字社
 【名称、口座名義】日赤令和6年能登半島地震災害義援金
 【受付期間】   振り込みは12月27日まで
 【振込先】    ゆうちょ銀行・郵便局00150-7-325411
 ※義援金の送り先を石川、富山、新潟、福井から選ぶことができる


支援金
 ●中央共同募金会
 【名称】  災害ボランティア・NPO活動サポート募金(ボラサポ・令和6年能登半島地震)
 【口座名義】社会福祉法人中央共同募金会
 【受付期間】銀行振り込みは6月30日までの予定
 【振込先】 三井住友銀行東京公務部(普通)0162585


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