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2町村で今春「帰還困難」解除 福島第1原発事故、避難区域の現状は?【#311jp 福島民報発】

 「オンデマンド調査報道(JOD)」パートナーシップの加盟社協働アンケートの「福島県の今について最も関心があること」の質問で、3番目に関心が高かった東京電力福島第1原発事故に伴う避難区域の現状について、福島民報社が取材した。

福島県大熊町の特定復興再生拠点区域に掲げられている看板
福島県大熊町の特定復興再生拠点区域に掲げられている看板
福島県大熊町の特定復興再生拠点区域に掲げられている看板

 東京電力福島第1原発事故から今年の3月11日で丸11年となる現在も、福島県内の7市町村に、空間放射線量が高いまま居住が制限されている「帰還困難区域」がある。福島県の沿岸地域「浜通り」にある富岡、大熊、双葉、浪江、葛尾、飯舘の6町村は、住民の帰還に向けた環境を整備する「特定復興再生拠点区域(復興拠点)」を帰還困難区域内に設け、除染やインフラ整備を進めている。このうち大熊町と葛尾村は、6町村のうち最も早い今年「春ごろ」の解除を目指している。
 国が設定している復興拠点の避難指示解除の要件は、①空間線量率で推定された年間積算線量が20ミリシーベルト以下になることが確実②日常生活に必須なインフラや生活関連サービスがおおむね復旧③県、市町村、住民との十分な協議の3項目。各町村は除染、インフラ整備を進めるとともに、第三者による除染検証委員会を設置し、住民が安心して帰還できるよう線量の測定や評価を進めている。
 解除日は、除染検証委員会による検証結果の報告、住民への説明などを経て、国と県、地元自治体で協議し、政府の原子力災害対策本部が決める。
 第1原発立地町の一つである大熊町は、2月下旬に解除に向けた住民説明会を予定していたが、新型コロナウイルスの変異株オミクロン株による感染急拡大で延期。住民説明会は解除要件の一つである「住民との協議」の場として大切な場であり、町は開催に向けて感染状況の推移を注視している。
 一方で、住民帰還を円滑に行うため、避難指示が出された区域で禁止されている宿泊を特例的に認める「準備宿泊」が葛尾、大熊、双葉3町村で始まっている。帰還を考えている住民が自宅に泊まりながら、古里での生活再開に向けた準備をしている。原発事故の被災地への住民帰還や今後のまちづくりに向け、最初の解除となる大熊町と葛尾村の動向が注目されている。
 復興拠点は帰還困難区域の一部で、政府は昨年8月、復興拠点から外れた地域の帰還・居住に向けた避難指示解除に関する対応方針を決定した。住民の帰還の意向を確認し、2024年度を目標に除染を開始するとしており、「2020年代をかけて『意向確認』『除染』『避難指示解除』」の工程を複数回繰り返す方針だ。
 これに対し、復興拠点を抱える町村からは「住民の意向に基づいて除染すれば、まだらになってしまう」「全面解除には遠く及ばない。解除されるエリアが小さくなってしまう」と懸念する声も上がっている。

 〈メモ〉帰還困難区域 東京電力福島第1原発事故に伴う福島県内の避難指示区域のうち、2012年3月末時点での年間被ばく線量が50ミリシベールト超とされた区域。7市町村に計約3万3700ヘクタール残り、原則立ち入り禁止。帰還困難区域のうち、住民の居住再開を目指して除染やインフラ整備を進める特定復興再生拠点区域(復興拠点)が6町村の計2747ヘクタールに設置され、2022年春以降の住民帰還に向けて除染やインフラ整備が進められている。
 

記者の目 真の復興はこれから


 福島県は全国3番目の広さを誇り、「中通り」「浜通り」「会津」の3地方に分けられる。浜通りは太平洋に面しており、寒流と暖流がぶつかる「潮目の海」は全国有数の漁場となっている。冬でも雪が少なく、東北地方の中では比較的温暖な地域として知られている。
 主に浜通りにある市町村に、原発事故の放射性物質による空間線量に基づいて避難区域が設けられた。これまでに一部では避難指示が解除され、帰還できる区域と、いまだ帰ることができない区域に分けられている。しかし、避難を余儀なくされた住民にとって「線引き」は関係なく、大切な古里であることに変わりはない。
 帰還困難区域内の特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示解除が迫る。この11年で復興は進んだものの、福島県の真の復興はこれからだ。帰還困難区域の全域が解除される日まで、その道のりは終わらない。
 (福島民報社双葉郡統轄・双葉北支局長 渡部純)

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