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バス乗降口へ導くはずの点字ブロック、誤った所に 静岡駅南口、問題の核心は【NEXT特捜隊】

 JR静岡駅南口駅前ロータリーで、しずてつジャストラインのバス22番乗り場に続く点字ブロックが現在の乗降口とは違う場所に敷かれ、長年放置されている。「何度か目の不自由な方を乗り場まで誘導したことがあります。事故が起きてからでは遅いので調査してほしい」。9月下旬、静岡市清水区の50代女性から静岡新聞社「NEXT特捜隊」に依頼が届いた。

誤った場所に設置された点字ブロック(円内)。周囲に鉄柵はなく、ロータリーに誘導されていた=7月10日、JR静岡駅南口広場(読者提供)
誤った場所に設置された点字ブロック(円内)。周囲に鉄柵はなく、ロータリーに誘導されていた=7月10日、JR静岡駅南口広場(読者提供)
誤った場所の点字ブロックは撤去された(円内)が、正しい位置に新たな点字ブロックはない状態のまま=10月上旬
誤った場所の点字ブロックは撤去された(円内)が、正しい位置に新たな点字ブロックはない状態のまま=10月上旬
誤った場所に設置された点字ブロック(円内)。周囲に鉄柵はなく、ロータリーに誘導されていた=7月10日、JR静岡駅南口広場(読者提供)
誤った場所の点字ブロックは撤去された(円内)が、正しい位置に新たな点字ブロックはない状態のまま=10月上旬

 女性によると、駅から続く点字ブロックは22番乗り場より数十メートル手前で止まっていた。駅近くの21番乗り場には安全対策で鉄柵が設置されているが、22番乗り場にはなく、点字ブロックに従って歩くと誤ってロータリーに進入してしまう恐れもあった。女性は7月上旬、同社に現状を伝え、改善を要望したが「2カ月以上たっても一向に変わる様子がない」と憤っていた。
 10月上旬に現場を訪れると、誤った場所の点字ブロックは既に撤去されていたが、22番乗り場には点字ブロックがない状態のままだった。同社総務課に尋ねると、7月14日に市民からメールで指摘があり、数日後にロータリーを管理する同市に伝えたという。
 そこで、担当の市駿河道路整備課にも話を聞いた。市と同社が話し合ったのは、連絡が入ってから約1カ月半後の9月2日。誤った点字ブロックは危険であり、早急に対応するべきと判断し、同30日に撤去した。
 事態は解決に向かっているかに思えたが、続く説明に問題の核心があった。同課によると、ロータリーを整備した1994年当時、路線バスが使っていたのは21番乗り場のみで、現在22番乗り場がある場所は観光バスなどの乗降口として利用されていた。点字ブロックの位置は最初から、現在の路線バスの乗降口とは違っていた。
 その後、2009年に市中心街の商業施設「新静岡セノバ」への建て替え工事により同所のバスターミナルが利用できなくなった際、同社が「ロータリーに1台分のバス乗り場を仮設で作ってほしい」と申し出があり、22番乗り場が設けられたという。ただ、当時は工事期間中だけの予定だったが、同社から「継続して使わせてほしい」と申し出があり、現在まで約12年間にわたり“仮設”状態が続いているという。
 今後も継続して22番乗り場が使用される場合は、ロータリーを管理する市が点字ブロックを敷く方針という。同課の担当者は「長年この状態で来てしまったことは大変申し訳ない」と述べ、同社は「課題のある部分は今後改善していきたい」としている。
 市と同社の現時点の回答を女性に伝えた。女性は「両者の認識不足で目の不自由な方々が長年困っていたなんて悲しいです」と問題の早期解決を望んだ。

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