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テーマ : 編集部セレクト

⚾増井さん(焼津市出身)引退 遅咲き右腕、重ねた実績 体の強さと「鈍感力」武器

 昨季限りでオリックスを退団し、1月末に現役引退を表明した増井浩俊さん(38)=焼津市出身、静岡高出=。先発、中継ぎ、抑えとあらゆる役目を担い通算成績は41勝47敗、163セーブ、158ホールドと輝かしい足跡を残した。プロ13年間を振り返り、現在の心境を語った。

プロ13年間を振り返る元オリックス投手の増井浩俊さん=静岡市内
プロ13年間を振り返る元オリックス投手の増井浩俊さん=静岡市内
楽天とのオープン戦で先発した増井さん=2021年3月、草薙球場
楽天とのオープン戦で先発した増井さん=2021年3月、草薙球場
増井浩俊・略年譜
増井浩俊・略年譜
プロ13年間を振り返る元オリックス投手の増井浩俊さん=静岡市内
楽天とのオープン戦で先発した増井さん=2021年3月、草薙球場
増井浩俊・略年譜


 戦力外通告を受けた後も現役続行を望んでいたがオファーは届かず。「けがもなく体が元気な状態で終わってしまったので頭の切り替えができていない」と明かす。近年は先発を任され、連投がなくなって体力的にも調整しやすくなっていた。「まだやれる」という思いもあったが、「小4で野球を始めた時からプロになるためにやってきた。必要とされなくなったら終わり」と区切りを付けた。
 チーム事情に応じて先発、中継ぎ、抑えを担った。「一つの場所に定着できなかっただけ」と謙遜するが、それぞれの役割を全うした。「中継ぎはチームのピンチを救える。先発にはない、やりがいがあった。クローザーは自分がやられたら負けに直結するプレッシャーが掛かる」
 高校時代に甲子園出場経験はなく、駒大2年時に右肘を痛めて半年ほど投げられない時期もあった。東芝では3年目で主戦となり、日本ハムからドラフト5位指名を受けた時は25歳になっていた。当時の目標シートに書き込んだのは「10年現役」。遅咲きの右腕は着実に成長を続け、日本代表に上り詰めた。
 持ち味を「フィジカルとメンタルの強さ」と自己分析する。大学で右肘、プロ1年目で肩を痛めて以来、体のケアは継続してきた。さらに「鈍感力」と呼ぶ気持ちの強さは駒大時代に培った。「(東都大学リーグでは)どんなにすごい投手でも悪い日があった。長い目で見て結果を出せばいい。一喜一憂する必要はないと思うようになった」という。
 移籍した当時のオリックスは下位に低迷していたが「若くていい選手が多く、これから面白くなるチーム」と見抜いていた。まだ実績のなかった山本由伸の才能を認め「20勝はできるし(山本が)20勝したら優勝できる」と激励。若手には常に「実力は他チームに劣らない。勝ったら楽しいぞ」と伝えてきた。
 しばらくは野球から離れてみるつもりだ。「野球しかしてこなかったのでキャンプや釣り、ゴルフなど思い切り趣味や新しいことをやってみたい」と穏やかな笑みを浮かべた。

全12球団セーブ 未勝利はヤクルトのみ
 日本ハム入団1年目は先発、2年目は中継ぎ、3年目は抑えにも挑戦し最優秀中継ぎのタイトルを獲得。国内フリーエージェント(FA)権を行使してオリックスに移籍後はプロ10年目で史上4人目の全12球団セーブを達成。全12球団勝利との史上初のダブル達成を狙ったが唯一、ヤクルトから勝利を挙げられなかった。「両方達成した人はいないと聞いて、がぜん名前を残したいと思った。そこは悔しい」と振り返る。

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