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Bリーグ静岡の加納選手「看護師はヒーロー」 息子の闘病、学生に語る 「いつも寄り添ってくれる存在であって」

 バスケットボールBリーグ3部ベルテックス静岡の加納誠也選手(33)が5月、県立大看護学部(静岡市駿河区)の小児看護の授業で講演し、先天性心疾患がある長男大誠ちゃん(4)が2歳までに経験した入院生活について、親の思いを語った。新型コロナウイルス禍で学生の医療機関での臨地実習が制約を受けていることで「親の思いに触れてほしい」と初めて壇上に立った。

講演する加納誠也選手=5月、静岡市駿河区の県立大
講演する加納誠也選手=5月、静岡市駿河区の県立大
試合でプレーする加納誠也選手
試合でプレーする加納誠也選手
講演する加納誠也選手=5月、静岡市駿河区の県立大
試合でプレーする加納誠也選手

 疾患を告げられたのは大誠ちゃんが胎児の時だった。「性別が分かり、一緒に運動したいとか夢を膨らませていたとき、医師に『呼吸できるか分からない』と言われた」
 当時、福岡県内のチームに在籍していた。里帰り出産で愛知県にいた妻は電話の向こうで毎日泣いていた。「産前は自分も事実を直視できなかった」が、産まれた子の顔を見た時「自然と親の覚悟が決まった」と言う。
 大誠ちゃんは2歳までに3度入院。過酷だったのが3回目で、術後の経過が悪く、退院が遅れた。
 相部屋の子が先に退院し「無意味と分かっても比べて落ち込んでしまう」日々。大誠ちゃんはやせ、抱きしめた時に骨の感触を強く感じ「つらかった」。表情も乏しくなったが、看護師に「頑張ってるね」と声を掛けられた時だけ、息子は笑顔を見せた。加納選手は「看護師さんの気持ちのこもった言葉の力に救われた」と言う。
 2020年に来静し、今は一家で静岡市内で暮らす。「子どもに楽しみを」と県立こども病院に体操のDVDを贈る活動をする中で看護実習の事情を聞き、初めて人前で語ることにした。大誠ちゃんが友だちに傷痕を指摘された時のこと。長女(6)から初めて「寂しかった」と言われた時のこと。退院後の家族の姿も隠さなかった。
 「入院中、退院後もずっと、親は心に傷を負い続ける。看護師は僕らのヒーロー。いつも寄り添ってくれる存在であって」。熱心に耳を傾ける学生に語り掛けた。

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