テーマ : 福祉(障がい者・子ども)

進級から1カ月 学習の取り組み方は? 小学生/丸付けし考える力を 中学生/復習で苦手をなくす

 新学年がスタートして1カ月が過ぎた。学校生活に少しずつ慣れ、中学校では定期テストに向けて準備を加速させている生徒もいる中、どのように勉強に取り組めば良いか。全国に250以上の校舎を展開する秀英予備校の静岡本部校講師、足利拓郎さん(40)は、「まずは親子で学校や塾の宿題の内容や量を把握し、どう取り組むかを一緒に考えてほしい」と家庭学習のポイントを指摘する。

小学生の宿題をチェックする足利拓郎さん。「頑張ったね」「きれいに書けている」と褒めながら確認した=静岡市葵区の秀英予備校静岡本部校
小学生の宿題をチェックする足利拓郎さん。「頑張ったね」「きれいに書けている」と褒めながら確認した=静岡市葵区の秀英予備校静岡本部校

 「ここ(秀英予備校)では毎回、個別に宿題をチェックしてフィードバックする時間を大切にしている。勉強の取り組み姿勢などが把握できる」と足利さん。
 小学生の学習について、「学習プロセスにおける目標を立てることから始めて」とアドバイスする。例えば「学校の授業に集中する」「提出物の文字をきれいに書く」など。実際に問題を解く宿題が増える3年生ごろからは、「問題を解いたままにせず、きちんと答え合わせを」。1問ずつ丸付けし、できたところとできなかったところを一目で分かるようにするのがポイント。5、6年生になったら自分で丸付けし、「記述式の問題では模範解答と自分の解答の違いは何か考えてみて」。言葉の使い方や文章の組み立て方なども学べるという。
 定期的にテストがあり、点数や順位といった数値目標が立てやすい中学生は、分からないところを確実になくし次に進むために、自宅では復習に力を入れるよう促す。テスト対策は、約3週間前から教科書の副教材を中心に、間違えたことのある問題をノートに書き写して解き直す。
 デジタル機器の活用が広がり日常生活で「書く」場面が減る中、「どの学年にも大切なのは、字を落ち着いて丁寧に書くこと」。手を動かすことで記憶しやすいだけでなく、筆算で列がずれたり、複雑な問題で過程が雑になったりすることによるミスが減らせる。「強く意識する必要はないが、将来的にもさまざまな場面でプラスになるだろう」と話す。
 親の関わりについては、小学4年生ごろまでは、子どものそばにいてたくさん褒めてあげることが子どものやる気につながるという。5、6年生でも宿題の有無や丸付けができたかは確認し、中学生では「干渉しすぎずに見守る姿勢を」と語った。
 (教育文化部・鈴木明芽)

 常葉大・木村光男准教授に聞く 安心と満足積み重ねて photo01
 新しい環境への移行期を過ごす子どもの状況と支え方について、常葉大教育学部初等教育課程の木村光男准教授に聞いた。
      ◇
 今、子どもたちは成長への期待で胸を躍らせている半面、環境の変化に遭遇し不安や緊張の中にいる。例えば、大人が「○年生になったのだから」などと“各段階が理想とする子ども像”に当てはめようとすると、不適応が発生しやすくなる。この時期の過ごし方と心の状態はとても重要と言える。
 家庭では子どもの感情を理解するために「(学校で)どんなことがあった?」と温かな気持ちで聞く時間が必要。ポジティブに話すなら基本的に心配はいらないが、ネガティブな感情の場合は「どうしたかった?」と「願い」を引き出してみてほしい。子どもは他者に「願い」を伝えることで、感情をコントロールすることがある。
 学習の場面では「自分もできた」という安心感、「みんなでやったら楽しかった」という満足感を実感させることが大切だ。内面にわき起こるポジティブな感情を積み重ねることで、環境への適応力を高め、それはやがて学習意欲に反映する。
 学習意欲は、興味や関心を元にした「学びたい」欲求に「楽しい」「好き」といった感情が合わさって、高めることができる。子どもが自ら勉強の価値や期待を見いだし目標を設定できると、学習習慣につながる。「学校や親にとって、初めが肝心」という考え方から、「子どもにとって、初めが肝心」と転換し、教科や教材ありきでなく、興味や関心を引き出す視点で導くことが不可欠だ。

 

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