テーマ : 福祉(障がい者・子ども)

一日の始まりは「じゃんけん」 校門前で児童に負け続け10年 静岡の鈴木さん

 「最初はグー、じゃんけんホイ! 負けた!」-。

 静岡市駿河区の長田西小の校門前で毎朝、児童をじゃんけんで迎え「じゃんけんおじさん」の名で親しまれている地域の男性がいる。同区の鈴木竹重さん(84)。ポリシーは自分が必ず負けること。「勝って始まる一日は気持ちいいでしょ」と笑う鈴木さんの活動は今年で10年余りがたち、児童や通行人の笑顔を誘っている。
 2012年に自治会役員の勧めであいさつ運動に参加し、「あいさつだけじゃ物足りない」とじゃんけんを始めた。当初は真剣勝負だったが、「負けた子がかわいそう」と考え、自身が負けるスタイルに切り替えた。
 負けるこつは「パーしか出さないこと」。児童も暗黙の了解でチョキを出して校門をくぐる。「毎朝楽しみにしている」「おじさんに会うと元気がもらえる」と話す児童のほか、「パーしか出さないのはおじさんのクセかな」と分析し、毎朝の勝負を楽しむ児童も。多くの児童が鈴木さんの元に駆け寄り、校門にはじゃんけん待ちの列ができることもある。
 地域を挙げてあいさつ運動に力を入れている丸子地区。鈴木さんと共にあいさつ運動を続ける長田西学区交通安全会長の平野和彦さん(70)は「普通にあいさつしても返ってくるのは6割ほど。でもじゃんけんはみんな喜んで返すからすごい」と目を細める。
 鈴木さんは通勤や散歩で校門前を通る大人にもじゃんけんを繰り出している。
 「じゃんけんで地域のつながりが生まれる。体がもつ限り、みんなに負け続けたいね」

 

いい茶0

福祉(障がい者・子ども)の記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞