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テーマ : 島田市

大井川鉄道、全線再開に22億円 被災当時想定から膨らむ 自社負担8.4億

 静岡県は29日、昨年9月の台風15号で被災し一部区間の運休が続く大井川鉄道(島田市)について、全線での運行再開に必要な費用が総額で約22億円に上ると明らかにした。鉄道・運輸機構や鉄道総合技術研究所による現地調査を踏まえて精査した結果、当初想定された約19億円から膨らんだ。大鉄の負担額は8・4億円以上になる見込み。県や地元市町による支援策や資金調達の方法を今後議論する。

大井川鉄道の全線での運行再開に必要な費用を報告した検討会=29日午後、県庁
大井川鉄道の全線での運行再開に必要な費用を報告した検討会=29日午後、県庁


 同日に県庁で開かれた「大井川鉄道本線沿線における公共交通のあり方検討会」で報告した。大鉄の鈴木肇社長は会合後の取材に、「コロナ禍で赤字が続き、企業単独で負担するのは難しい。復旧の道筋は立っていないのが現状だ」と述べた。工事に着手したとしても全線復旧には少なくとも1年以上かかると説明した。
 県は本年度中に検討結果を取りまとめる方針を示したが、全線復旧に向けた具体策を打ち出せるかは不透明だ。意見交換会ではクラウドファンディングによる資金調達を求める意見が出た。
 運行再開に要する費用の内訳は被災箇所の復旧が4・8億円、経年劣化したトンネルや軌道の整備が17・3億円。現地調査では、被災箇所とは別にトンネルのひび割れやはく離などを確認したという。
 大鉄は台風15号により全線で土砂流入などの被害を受け、現在も川根温泉笹間渡―千頭間で運転再開の見通しが立っていない。川根本町の担当者は観光客の大幅な減少など経済的な打撃を受けているとして、「県中部地域の活性化のためにも全線復旧が必要」と訴えた。
 (政治部・森田憲吾)

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