静岡人インタビュー「この人」 大井川流域や南アルプスのジオサイトガイドを作成した 諸橋良さん（静岡市駿河区）
日本列島の誕生に関わる地形・地質遺産の宝庫である大井川に沿う赤石山地と南アルプスの成り立ちや魅力を解説する「ジオサイトガイド」を作成した。ガイドは静岡県ホームページで公開している。静岡県生活環境課職員。新潟県三条市出身。４８歳。
―作成のきっかけは。
「もともとは南アルプスの世界自然遺産登録を目指す動きがあり、２０１０年ごろに学術的な調査報告書をまとめていたが、一般の人には分かりにくかった。多くの人にその価値を知ってもらい、どこにどんな地質遺産があるか分かるよう地図や写真をふんだんに取り入れた」
―公開後の反響は。
「関係機関などから好評をいただいている。学校教育に活用したいとの声も届いている。デジタル化により、興味のある部分を選んで印刷することができる。端末で見るだけでなく、ガイドを手に現地へ足を運んでもらい、景色や温泉などと一緒に地形や地質を楽しんでほしい」
―お薦めのジオサイトは。
「気軽に行きやすい場所で言えば、大井川の河道の変遷を物語る島田市川根町の天王山や野守の池。断層沿いに流れる地下水が勢いよく噴き出している静岡市葵区田代の明神湧水もお薦め。岩石にも注目してほしい。海洋プランクトンの遺骸が集積してできた赤色チャートなどは、駿河湾の深海から５千メートル以上も隆起したことが分かる」
―地形を知ることの意義は。
「私たちは大地から多くの恩恵を受けている。一方で、地形の成り立ちを知ることで、さまざまな災害に備えることができる。防災情報やハザードマップだけに頼るのではなく、平時から自分の目で見ておくと大地との付き合い方や災害時の被害の最小化を考えることができる」
（政治部・豊竹喬）
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