大井川鉄道が会見、謝罪 臨時列車緊急停車、連結器に損傷なし
大井川鉄道(本社・島田市)の臨時列車が発車直後、先頭の電気機関車と客車をつなぐ連結器が外れ緊急停車した事故で、大鉄の鈴木肇社長は29日に記者会見し、「重大な事故と認識している。安全安心を第一に掲げる鉄道会社としての期待に背き、深く反省している」と謝罪した。
⇒運輸安全委員会が調査官派遣
会見に同席した坂本光司鉄道部長は連結器に損傷はなく、事故発生後に車両を低速で新金谷駅まで移動させた際も問題はなかったことを明らかにした。緊急停車時は時速20~25キロ程度だったとみられ、出発した家山駅ホームから約100メートルの地点で止まった。電気機関車は1987年製で、客車が48年製。定期検査で異常はなかったという。連結器は鉄製で、これまでに部品の交換などがあったかは不明。鈴木社長は「施設の老朽化も進んでいて、運行継続に向けきちんと対応していく必要がある」と述べた。
同様の事故は2008~10年に複数回発生しているが、原因は明らかになっていない。再発防止策として、連結器が振動などで解除されないように固定するフックを各車両に装着していた。
事故は28日午後2時45分ごろに発生。家山発金谷行きの臨時列車「普通客車列車」(客車3両編成)が家山駅を発車直後、先頭の電気機関車と客車をつなぐ連結器とブレーキホースが外れ、非常ブレーキが作動して緊急停車した。乗客・乗員86人にけがはなかった。国土交通省は事故につながりかねない重大インシデントに認定。運輸安全委員会は鉄道事故調査官2人を29日に現地へ派遣した。
普通電車は同日、始発から通常運行を再開した。きかんしゃトーマス号や蒸気機関車(SL)も運行に向けて調整している。