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テーマ : 島田市

【2024注目予算】島田市 コテージに露天風呂 市施設 観光路線強化

 「蒸気機関車(SL)の存在が誘客に直結するのを実感した」。SLが見える温泉として、島田市内外から観光客らが訪れる「川根温泉ふれあいの泉」(同市川根町笹間渡)の三浦俊夫支配人は語る。昨年10月、1年ぶりに大井川鉄道が最寄りの川根温泉笹間渡駅まで延伸再開。SL風景が戻ったことで、客数や客単価の回復を肌で感じている。

川根温泉ふれあいの泉のコテージ。露天風呂のある部屋から予約が埋まる=島田市川根町笹間渡
川根温泉ふれあいの泉のコテージ。露天風呂のある部屋から予約が埋まる=島田市川根町笹間渡

 同温泉は、日帰り温泉をはじめ、コテージなどを兼ね備える川根町時代から続く市の観光施設。第三セクターの株式会社川根町温泉が運営する。市は利用者の満足度や稼働率の向上を目指し、4人棟コテージに露天風呂を新設するなど改修費2200万円を当初予算案に計上した。
 コテージはコロナ禍で高まったアウトドアブームもあったが、需要は一服。最近は露天風呂のある部屋から予約が埋まり、露天風呂の有無で稼働率に約20%の差が出る状態が続いていた。温水プールなどを備えた健康増進を目的としていたバーデ棟の解体により、余った湯量を露天風呂に充てる。経営をより観光路線にシフトする考えだ。
 一方、台風被害からの延伸再開に伴う課題も見えてきた。鉄道利用客は温泉全体としてもわずか。川根温泉笹間渡駅からの導線は弱く、一時的とはいえ、終着駅としての機能を生かし切れていない。市はバーデ棟跡地の多目的広場化を進めていて、観光課の担当者は「駅周辺のにぎわいづくりを促していきたい」としている。
記者の目 駅を核に周遊形成を  大井川鉄道の全線復旧が見通せない中、暫定的な終点である川根温泉笹間渡駅周辺を核とした周遊観光の形成は急務だ。島田市はハード整備だけでなく、川根地区の中長期的な観光ビジョンを描く必要がある。
 川根温泉ふれあいの泉は隣接の川根温泉ホテルとともに、株式会社川根町温泉と大鉄による「かわね創造コンソーシアム」が指定管理者となり、7月から2施設の一体的管理が始まる。効率的な経営だけでなく、鉄道利用を組み込んだ観光戦略に期待したい。
 6月からは「きかんしゃトーマス号」の運行が同駅まで拡大する。地域ににぎわいを生むチャンスだ。一昨年の台風15号被害を通じ、SLが見える温泉としての恩恵を実感した地元関係者も多いはず。眺めるだけでなく、鉄道に乗車することで、全線開通に向けた機運も高まるだろう。
 (島田支局・寺田将人)

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