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テーマ : 島田市

病気や生きづらさ 短歌に思い込める 島田・大村さんが歌集

 島田市高島町の大村誉子さん(49)が甲状腺機能低下症に伴ううつ症状や糖尿病などを患いながら、短歌をつづった歌集「大切なわたし」を自費出版した。10年前に家族を自死で亡くし、精神科病院に3年近く入院するなど心的外傷後ストレス障害(PTSD)にも苦しむ大村さん。「短歌の発信を通じて世の中とつながり、生きづらさや障害に対する壁をなくしたい」との願いを本に込めた。

短歌をつづった歌集「大切なわたし」を自費出版した大村さん=島田市内
短歌をつづった歌集「大切なわたし」を自費出版した大村さん=島田市内

 短歌との出合いは5年前、退院後に利用した福祉施設の活動で触れた。「普段は言えないことも、短歌なら伝えられる」。自宅でも創作にのめり込んだ。歌を通じてかけがえのない友人と出会い、地元の短歌会の立ち上げに携わった。2021年のふじのくに芸術祭では、短歌種目で精神障害をカミングアウトした作品が準奨励賞に選ばれた。
 歌集は短歌会の活動やSNSで発表・発信した約200作品を掲載した。わずかな期間で出版を実現させたのは「病気で長生きできないかもしれない。今を生きたい」との思いがある。「何年か先に娘たちが読み返すことがあるかもしれない」と、離れて暮らす長女や次女に向けた歌も載せた。
 それでも、普段の短歌作りは「楽しくてしょうがない」と話す。月刊誌「短歌往来」に作品が掲載され、原稿料を得るなど歌人として自信につながる出来事もあった。「自分にしかできない福祉の啓発活動を続けたい」と創作を続ける。歌集は島田市の島田書店花みずき店で販売する。

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