仲のいい夫婦 なぜ… 富士宮の病院 家族３人死亡 近隣住民「将来悲観か」 長女２０年間入院 妻も半年前
富士宮市杉田の富士脳障害研究所付属病院で２７日発生した家族３人が死亡した事件。男（７３）が妻子を刺した後、自らも刺したとみられる。富士市久沢の男の自宅周辺では、近隣住民が「仲のいい夫婦だったのに」「家族の今後を悲観したのでは」などと悩ましい表情を浮かべた。
近隣住民らによると、男は妻（７２）と長男の３人暮らし。長女（４０）は２０年ほど入院し、妻も半年ほど前に倒れて入院したという。
２７日夜、住宅地の自宅はひっそりと静まりかえっていた。７０代の男性は「地区の祭りや行事などに協力する真面目な人。今朝も家の前を掃除している姿を見かけた」と印象を語った。半年ほど前から付き合いがなくなったといい「深刻な状況で切羽詰まっていたのかもしれない。ニュースで聞いた時には、もしかしたらと悪い予感もした」と表情を曇らせた。
別の男性は、男の妻を「ハキハキとした元気な人。倒れて大変だとは思っていたが、こんなことになるなんて」と言葉を詰まらせた。
近隣の７０代女性は、一緒に散歩する夫婦の姿が印象に残る。病院によると、男は２日に１回程度、２人の面会に訪れていたという。女性は「精神的に追い込まれていたのかもしれない。手助けできたこともあったかもしれないと悔やんでいる」と唇をかんだ。
「普通に面会に」 病院事務長「残念」
富士脳障害研究所付属病院の谷津雄一事務長は午後７時過ぎ、病院前で報道陣の取材に応じ、「（男は）ごく普通に面会に来ていた。（トラブルは）過去になかった」と話した。
男はこの日もこれまで同様、妻と長女が入院している病棟３階のナースステーション前で名簿に記名して病室に向かった。その様子を複数の看護師が目撃したが、不審な点はなく気に留めなかったという。
事態の受け止めを問われた谷津事務長は「非常に残念」と沈痛な面持ちで語った。通報時の状況など詳細については言及を避けた。
