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テーマ : 事件事故しずおか

「まるで会社」違法スカウトグループ「ナチュラル」 東京・歌舞伎町拠点 国内最大 組織性強く 「部署」で管理、階級、規約

 東京・歌舞伎町を拠点に女性を風俗店などに紹介する国内最大規模の違法スカウトグループ「ナチュラル」の幹部らが昨年10月以降、内部の監禁事件を巡り相次いで逮捕された。グループは独自開発のアプリで連絡を取り合い警察の摘発を避け、取り調べに備えた研修も徹底。他の組織への移籍を禁じるなど、厳しい規約でメンバーを支配する「会社のような組織性」(捜査関係者)で勢力を拡大した。
若者や外国人観光客らでにぎわう東京・歌舞伎町=1月下旬
 捜査関係者によると、ナチュラルは10年以上前から活動を始め、現在は千人以上が所属しているという。ナンパを装って路上で声をかけるなどして女性と接触。風俗店につなげて売り上げの一部を継続して得る。歌舞伎町以外にも全国の繁華街でスカウト行為をしており、グループの年間収入は40億円を超えることもあったという。収益が暴力団に流れた恐れがあり、警視庁暴力団対策課が実態を調べている。
違法スカウトグループ「ナチュラル」のイメージ
 「契約課」「総務課」などの部署を置きスカウトを管理。成績に応じて「ダイヤモンド」「プラチナ」などの階級があり、一番下は「研修生」。内部の競争を促す一方「グループ以外でスカウトをすれば500万円以下の罰金」などの規約を設けていた。
 風俗店への紹介は職業安定法違反(有害業務目的紹介)などに当たるとされ、摘発対象となる。グループは警察を「ウイルス」と呼んで警戒し、数千万円かけたという内部連絡用アプリで繁華街を歩く私服警察官の写真を共有。押収時に発覚を免れるため、アプリのアイコンは大手検索サイトなどのデザインに偽装していた。
 警察官役を用意し、取り調べを想定した研修も新人に実施。「自分はフリーのスカウトだ」など、グループに捜査が及ばないような回答ができるようになるまで現場に出さず、摘発された際の罰金や弁護士費用はグループが負担するという。
 警視庁がナチュラルに目を向けるきっかけとなった事件がある。2020年6月、歌舞伎町で指定暴力団住吉会系の組員がスカウトを襲う「スカウト狩り」動画がインターネット上で拡散。警視庁は同年10月に組員やナチュラルの男を逮捕した。
 スカウトの引き抜きを巡るトラブルがあったとされ、捜査関係者は「暴力団と対立する規模の組織だと気付いた」という。事件後に多額の金を住吉会側に支払って和解し「共存関係」を築いたといい、「金さえもらえれば争わないのが暴力団。多額の金が流れている恐れがある」と強調する。
 歌舞伎町では通りごとに縄張りとしている組が異なり、ナチュラルは複数の組にみかじめ料を払っている可能性がある。警視庁幹部は「資金の流れの解明など徹底した対策が必要だ」と話した。

 

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