テーマ : 芸能・音楽・舞台

音、言葉 聴き手に委ねる 音楽家・鈴木惣一朗(浜松出身)が新アルバム

 浜松市出身の音楽家鈴木惣一朗のソロプロジェクト「ワールドスタンダード」が、14作目のアルバム「ポエジア…刻印された時間」を発表した。2020年の前々作「色彩音楽」以降のビジュアルを担当するイラストレーター横山雄の作品からインスピレーションを受け、弦楽器や管楽器を交えた「歌のある環境音楽」を作り上げた。

「デジタルデータで音楽を聴く時代だからこそ、ものとしての手応えが感じられる作品を作りたくなった」と語る鈴木惣一朗=3月上旬、都内
「デジタルデータで音楽を聴く時代だからこそ、ものとしての手応えが感じられる作品を作りたくなった」と語る鈴木惣一朗=3月上旬、都内
ワールドスタンダード「ポエジア…刻印された時間」のジャケット
ワールドスタンダード「ポエジア…刻印された時間」のジャケット
「デジタルデータで音楽を聴く時代だからこそ、ものとしての手応えが感じられる作品を作りたくなった」と語る鈴木惣一朗=3月上旬、都内
ワールドスタンダード「ポエジア…刻印された時間」のジャケット

 自身初のボーカルアルバム「色彩音楽」、21年の前作「エデン」と3部作をなす新作はLPレコードとしてリリース。アコースティックギターを基調に、ピアノやチェロ、フルート、クラリネットの音が静かに柔らかく響く。もの悲しさや寂寥[せきりょう]感が漂う歌の中に、ほんのり明るさも漂わせる。
 「録音が始まる前の22年夏、横山君の個展でこの絵に出合い、アートワークを最初に決めた」という。言葉や音が「ただそこに置いてあるだけ」の音楽を目指す中で「何かを見ているだけ」を感じさせる横山の作品が創作を後押しした。
 「新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に関しては明るい光が見えつつも、ロシアによるウクライナ侵攻をはじめネガティブなニュースが多く、自分の気持ちは不安定だった。聴いていて希望が感じられるレコードにしたいと思った」と心境を語る。
 A面の最終曲にハイチの作曲家フランツ・カシウスの「ロマンス」、B面の最終曲にバッハの「サラバンド」を配した。「15曲を録音したが、最終的に6曲を残した。AB面それぞれの3曲目を受けた『アウトロ』としてカバー曲が必要だと思った。選んだのは『いつかやりたい』とずっと思っていた2曲」と真意を説明する。
 問題提起の意図も込めて「歌のある環境音楽」を掲げる。
 「ワールドスタンダードはポップス感を持ちながらアンビエント(環境音楽)をやる、というのが出発点。アーティストをあがめて拍手を送る世界とは正反対であろうとしている。音、言葉の意味付けは聴いた方々に委ねたい」

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