記者コラム「清流」 残したい棚田の風景
日没前の柔らかい光を反射する棚田が、息をのむほど美しかった。キャンプ企画の取材で訪ねた菊川市倉沢の「千框(せんがまち)の棚田」。のどかな山里に身を置いている時間が心地よくて雑談を楽しんでいるうちに日が傾き、棚田は表情を変えていた。
棚田の1枚ずつをキャンプ場の区画サイトに見立てた配置。農閑期だが、保全団体の粋な計らいで一部に水を張っていた。テントで夜を明かしたキャンパーは最高のロケーションを楽しめたことだろう。
通年営業のキャンプ場になれば人気が出るとも思ったが、田んぼとして現役なのが魅力。景観の維持には人手が要る。保全団体は高齢化に直面していて、企画は交流人口の拡大と新規棚田オーナーの獲得が目的だった。関心を寄せる人が増えることを願っている。
(掛川支局・高林和徳)