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テーマ : 菊川市

「トコハの名品-常葉ギャラリー収蔵名品展-」 常葉大静岡瀬名キャンパスで17日から 崋山や一念 珠玉の作品群

 常葉大菊川高(菊川市)に併設していた旧常葉美術館が、「常葉ギャラリー」として同大静岡瀬名キャンパス内(静岡市葵区)に移転した。オープンを記念し「トコハの名品―常葉ギャラリー収蔵名品展―」が17日、同ギャラリーで開幕する。渡辺崋山らによる江戸時代後期の文人画、静岡ゆかりの洋画家・曽宮一念の油彩画など、半世紀にわたるコレクションが学びと文化の拠点の新たな歩みを彩る。

曽宮一念「冬日」 1925(大正14)年=前期展示
曽宮一念「冬日」 1925(大正14)年=前期展示
曽宮一念「洋上夕日」1969(昭和44)年頃=後期展示
曽宮一念「洋上夕日」1969(昭和44)年頃=後期展示
椿椿山「五穀野菜図」1852(嘉永5)年=後期展示
椿椿山「五穀野菜図」1852(嘉永5)年=後期展示
渡辺崋山「西王母図」 1816(文化13)年 =前期展示
渡辺崋山「西王母図」 1816(文化13)年 =前期展示
谷文晁「秋景山水図」 1808(文化5)年=前期展示
谷文晁「秋景山水図」 1808(文化5)年=前期展示
曽宮一念「冬日」 1925(大正14)年=前期展示
曽宮一念「洋上夕日」1969(昭和44)年頃=後期展示
椿椿山「五穀野菜図」1852(嘉永5)年=後期展示
渡辺崋山「西王母図」 1816(文化13)年 =前期展示
谷文晁「秋景山水図」 1808(文化5)年=前期展示


 常葉大は、これまで文化芸術推進や地域貢献活動に努めてきた。美術館を県内でいち早く開設したのは、その表れと言えるだろう。常葉美術館は、1977年に常葉短大菊川高等学校(現常葉大菊川高校)の中に開館し、生徒が来館者にあいさつして喜ばれるなど、地域の人々に愛されてきた。
 このたび校舎改築に伴い、新たに静岡市葵区の常葉大静岡瀬名キャンパス内に展示施設を移転し、名称も常葉大付属常葉ギャラリーと改め、新たな歩みを始めることとなった。そこで、50年近くにわたり収集してきた美術品の数々を公開する。これらは主に、名誉理事長・木宮和彦と初代名誉館長・菅沼貞三によって収集されたものである。
 渡辺崋山「西王母図」は、若い才気が際立つ珠玉の名品である。顔や着物の描写は、精緻にして緊張感みなぎる。崋山24歳、貧困の中、作画で家計を支えていた苦学時代の作である。木宮と菅沼がこの作品を収蔵した教育的な意図は明らかであろう。
 また2人は、本県ゆかりの洋画家・曽宮一念と深い交友があった。その生涯にわたる代表作が多数収蔵されている。「冬日」は、曽宮が画風を確立した記念碑的な作品である。正方形の画面に、景色を写生するのではなく再構築する。下部に描かれた洗い場の水面は、明鏡止水とでも言おうか、曽宮の吹っ切れた心情を表しているかのようだ。
 常葉美術館から常葉ギャラリーへ。2人の先達の理念を引き継ぎつつ、これからも教育と文化の進展のために、当ギャラリーは絶えず努めていきたい。
 (堀切正人・常葉大教授、常葉ギャラリー館長)
「トコハの名品-常葉ギャラリー収蔵名品展-」 ■会期 2月17日~3月4日(前期)、3月6日~17日(後期)※火曜休館
■会場 常葉ギャラリー(静岡市葵区瀬名1の22の1 常葉大静岡瀬名キャンパス2号館2階)
■開館 午前10時~午後4時半
■入場料 無料
■関連イベント 学芸員によるギャラリートーク 2月17日午後2時~(30分程度)3月9日午後2時~(同)
■問い合わせ 同ギャラリー<電054(261)1468>(会期中のみ、午前10時~午後4時半)

■主催 常葉大 静岡新聞社・静岡放送

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