富士山の遭難急増 水難事故、河川が大幅減 静岡県内夏季
静岡県警は14日、今年の夏季(7~8月)における県内の山岳遭難発生件数は76件と前年同期比で21件増加し、全体の約8割を富士山(61件)が占めたと発表した。態様別では病気や転倒、疲労が約7割に上り、遭難者の約4割が60代以上だった。水難事故の発生は同3件減の22件で、河川での発生が大幅に減った。
県警地域課によると、山岳遭難者数は85人(前年同期比28人増)で、うち富士山が64人(同16人増)で南アルプスが7人(同2人増)。死者は1人で、富士山で病気で亡くなった。
態様別では、病気の26人に次いで転倒が22人、疲労が13人と続いた。
富士山の遭難者64人は2012年以降で3番目の多さで、そのうち外国人は15人と前年同期比で倍増した。7月21~27日の1週間に特に救助要請が相次ぎ、照明・電源器具の不携帯で身動きが取れなくなった外国人からの通報もあった。
その他、富士山に加え南アで、道迷いや体力の低下で一度通報したものの自力で山小屋に到着できたり下山できたりしたケースもあった。いずれも再度の連絡が一切なかったため、救助隊などが捜索に長時間を費やしてしまったという。
水難事故発生の内訳は海が2件増の20件で、河川は6件減の1件。事故者数は2人減の25人だったが、県外者の割合は約8割と急増した。死者は3人減の6人で、海が5人を占めた。
南アなどでは秋の行楽期も遭難の発生が予想される。財津康地域部長は「日没が早くなり、道迷いなどが懸念される。必要な装備の携行と、体力に合わせた無理のない登山計画の徹底を」と呼びかける。
(社会部・荻島浩太)