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テーマ : 事件事故しずおか

焼津の外壁落下事故 施工業者、モルタル厚塗りでずれ補正 ターントクルこども館

 焼津市栄町の市子育て支援施設「ターントクルこども館」で7月、建物外壁の一部が落下した事故で、焼津市は12日、同施設を施工した焼津市の業者が柱の位置が当初の設計より5センチずれるミスを起こし、さらに外壁にモルタルを厚く塗って、外観上のずれを補正していたことを明らかにした。一連の行為について、業者は事故直後まで市に報告していなかった。市は専門家による検証委員会を設置。モルタルを厚く塗りすぎたことが事故の原因と特定した。

外壁が落下し封鎖された芝生広場=7月16日、焼津市栄町のターントクルこども館
外壁が落下し封鎖された芝生広場=7月16日、焼津市栄町のターントクルこども館

 事故は7月16日早朝に職員がこども館北側の芝生広場に1メートル四方のモルタルが落ちているのを発見したことで発覚した。けが人はいなかった。
 市によると、施工したのは同市の総合建設業「橋本組」。外壁にモルタルを塗る行為は当初の設計にはなかった。また、モルタルをコンクリート表面に付着しやすくするために行う「目荒らし」をしなかったという。
 同社の工事関係者は事故直後、ミスや設計にない厚塗り行為について市に打ち明けたという。ほかに問題箇所はないか点検を実施。この結果を市に報告した際に、厚塗り行為に至った経緯を説明したという。市の担当者は「相談してくれたら対処できたのに、なぜ独自で判断したのか」と憤る。
 市が設置した検証委員会の初会合は6日に非公開で行われた。建築の専門家など3人が委員として参加。同社の工事関係者らに対してヒアリングを実施した。同社は事故について謝罪するとともに、ミスに伴いずれが生じた柱に厚塗りされたモルタルについて撤去する方針を示し、了解された。柱の位置がずれたことに伴う建物への影響について、検証委では「構造的な問題はない」としている。補修方法やスケジュールについては次回以降、検討していく。

 ターントクルこども館 2021年7月にオープン。地上3階建てで、木製のおもちゃで遊べる「焼津おもちゃ美術館」、絵本などを取りそろえた「やいづえほんと」が入る。
施工業者の橋本組社長「100%ミス」
 ターントクルこども館(焼津市栄町)を施工した橋本組の橋本真典社長は12日までの静岡新聞の取材に「現場判断で設計にない行為を行ってしまった。当社の100%ミス」と答えた。
 橋本社長によると、補正で使用したモルタルは10センチ程の厚さで塗っても問題ない材質だった。ただ、通常塗る前にコンクリート表面に施す「目荒らし」をしなかったため、はがれ落ちやすい状態になったという。
 一連の行為は市や本社に報告しないまま、現場の判断で実施した。橋本社長は「技術力の低さも要因の一つ」と述べた。

入札参加資格、2カ月間停止に 焼津市
 ターントクルこども館(焼津市栄町)の建物外壁の一部が落下した事故に関連し、焼津市は12日までに、施工した総合建設業橋本組(同市本町)を2カ月間、入札参加資格を停止する方針を明らかにした。期間は12日から11月11日まで。
 

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