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知事選“候補”2氏は静岡県中、西部 「県政で埋没」危惧する東部、活性化は…低調懸念

 川勝平太知事の辞職に伴う知事選(5月9日告示、26日投開票)で、出馬意欲を示していた沼津市などを地盤とする渡辺周衆院議員(比例東海)が13日、不出馬を決めた。県中部、西部で立候補の動きが活発化する中、選挙日程を踏まえると、新たな候補予定者が出る可能性は徐々に低くなる。東部から立つ候補が不在となれば、「選挙だけでなく、その後の県政運営でも埋没するのでは」との懸念が有権者の間でささやかれる。
静岡県東部の市町へあいさつ回りを始めた知事選立候補予定者(左手前)。東部特有の課題への向き合い方を住民は注視する=9日、沼津市役所(全国知事会ホームページと静岡新聞を基に作成)
 「人口が多い地域だけでなく、過疎地域にも目を向けてくれるか心配」。伊豆半島の宿泊業の男性(72)は知事選の動向に神経をとがらせる。出馬表明した元副知事の大村慎一氏(60)は静岡市出身、出馬意向を固めた鈴木康友氏(66)は前浜松市長。それぞれ地元の経済人が後押しする。
 沼津市の経済人の一人は「東部活性化には地元出身知事が不可欠。残念だ」と本音を漏らす。いち早く意欲を見せた渡辺氏は元市長の朗氏を父に持つが、地元経済界や過去の選挙を支援した連合関係者を含め、積極的に推す声は最後まで聞かれなかった。
 東部の地域事情を熟知した知事を求める向きは根強い。東部からは戦後、公選知事7人のうち3人を輩出し、いずれも地域活性化に寄与したとの評だ。首長の一人は「近年の県政は“西高東低”。予算付けが東部に厳しいというのは共通認識」と打ち明ける。今回も関係者間で擁立の可能性を探るやりとりはあった。東部のある市で10日、地元経済人と有力政治家の後援会幹部が懇談。西部の経済界の動きを分析するなど情報を共有した結果、「他日を期す」ことで一致した。
 政治関係者は「中部や西部のように核になる地域や産業界の中心人物がいない」と分析。2021年の知事選で当時三島市在住の参院議員だった岩井茂樹東伊豆町長が、川勝氏に大差で敗れたショックが尾を引いているとの見方もある。
 短期決戦となり、今後の擁立は困難との見方が大勢を占めつつある。長年選挙に携わる組織の幹部は「中部と西部の争いに割って入るには東部がまとまる必要があるが、機運も時間もない」と無念の表情だ。
 東部は観光振興や人口減、過疎化、防災対策など課題が山積する。首長の一人は「選ばれた知事に東部や各市町の実情を伝えて議論していくしかない」と選挙後に視線を移す。

 

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