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静岡県内高齢化率1位 西伊豆で弁当宅配の新事業 障害者も力に 町塚さん開所

 「障害のある方々が地域で活躍できる場をつくりたい」―。静岡県内で高齢化が最も進む西伊豆町で、三島市の町塚俊介さん(31)が障害者の就労支援を兼ね、栄養バランスのとれる弁当や総菜の宅配事業を始めた。食を通して、障害者と主な宅配先の高齢者のコミュニケーションを創出し、新たな福祉の形の提案を目指す。

総菜を詰める町塚さん(右)。障害者の就労支援を兼ねて弁当の宅配事業を始めた=西伊豆町の「とことこ西伊豆」
総菜を詰める町塚さん(右)。障害者の就労支援を兼ねて弁当の宅配事業を始めた=西伊豆町の「とことこ西伊豆」


 事業を展開するのは、町塚さんが昨年11月に開所した就労継続支援B型事業所「とことこ西伊豆」。オーガニック食堂などで勤務経験のある従業員が調理を担当。精神、身体、知的の障害がある就労者らが出来上がった料理を容器に詰めたり、地域に届けたりする。宅配のほか、事業所内で販売も行う。
 早くに夫を亡くし、1人暮らしをしているという80代の女性は「運転免許証も返納して、なかなか買い物に行けない」と現状を打ち明ける。「総菜があれば、ご飯を炊くだけで済むからありがたい。ちょっとした話もできるしね」と弁当を受け取り喜んだ。
 県によると、2023年の県内高齢化率は過去最高の30・4%。同町は15年から9年連続県内最高値で50%を超え、1人暮らしを含む高齢者世帯の増加で社会的な孤立が懸念されている。
 町塚さんは同町を、高齢化と過疎化が進む県内多くの市町がこれから直面する課題を先取りする「課題先進地域」と捉える。「高齢者や障害者らさまざまな人が互いに支え合えるモデルを作りたい」と意気込む。
 (東部総局・天羽桜子)

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