テーマ : 美術・絵画・写真

美術の規範はみ出す実践 山本さん(金沢美術工芸大)講演 静岡県立美術館「天地耕作」関連企画

 静岡県立美術館は18日、浜松市の美術家3人による野外美術制作プロジェクト「天地耕作(あまつちこうさく)」をテーマにした企画展「天地耕作 初源への道行き」(同館、静岡新聞社・静岡放送主催)の関連企画として、金沢美術工芸大講師の山本浩貴さん(文化学)を招いた講演会を静岡市駿河区の同館で開いた。

「いろいろな意見が出て『天地耕作』を巡る言説が豊かになってくれたらいい」と語る山本さん=静岡市駿河区の県立美術館
「いろいろな意見が出て『天地耕作』を巡る言説が豊かになってくれたらいい」と語る山本さん=静岡市駿河区の県立美術館

 山本さんは「『天地耕作』を思い切り壊して、僕なりに再構築したい」と宣言し、同じ「かいたい」という読みの「改替」「開袋」「解体」「懐胎」の四つのパートに分けて語った。西洋の男性が「中心」を占めた美術の歴史が構造改革を迫られている現況を論じ、同プロジェクトを「『美術』の規範からはみ出る要素を持った実践」と位置付けた。制作を通じた美術という概念の拡張について触れた上で、「人間が全てを制御した予定調和的な物語ではなく、人間、自然というアクターが絡み合って生成される芸術」と評した。
 展覧会は浜松市の美術家村上誠さん、渡さん兄弟と山本裕司さんが、1988年から2003年にかけて旧引佐郡や海外で行った「天地耕作」の軌跡を写真や資料でたどる。新作も展示する。月曜休館。問い合わせは県立美術館<電054(263)5755>へ。
 (教育文化部・橋爪充)

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