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映画「運び屋」 残暑に負けぬシニアパワー【名画の歳時記⑥】

 9月に入りましたが、今年は例年以上に暑い日が続き、なかなか元気が戻ってきません。今月の18日は「敬老の日」ですが、元気いっぱいのお年寄りから残暑を乗り切るエネルギーをもらいましょう。

ブルーレイ/DVD 発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント(c)2018 Warner Bros. Entertainment Inc., Bron Creative, and Imperative Entertainment, LLC. All rights reserved.
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 クリント・イーストウッド監督/主演作「運び屋」(2018年、日本公開2019年)でイーストウッドが演じている老人アールは80代にして、ひょんなことから麻薬組織の“運び屋”として働くことになります(“ひょんなことから”始めるようなことではないですけどね)。
 突然、収入が激増し、組織の仲間たちから頼りにされることで生きがいも生まれ、アールの人生は再び活力に満ちたものとなります。この辺り、当時、実際に80代だったイーストウッドの演技は生き生きとしていて見ているだけで活力を分けてもらえます。ただし犯罪は犯罪。謎の運び屋の正体を探るFBI捜査官(ブラッドリー・クーパー)が執拗[しつよう]にアールの後を追い、破滅の足音が背後に迫ってきます。そして彼を待ち受けている結末とは…。
 犯罪行為を見習ってはいけませんが、主人公のバイタリティーと前向き(?)な姿勢は大いにまねしたいところ。
 80代で運び屋になった男の物語が実話というのもびっくりですが、93歳となったイーストウッドが最新監督・出演作となる法廷サスペンスを製作中(引退作になると言われています)というのも驚くべき、喜ぶべき、そしてできれば見習うべきことですね。
 残暑にめげている場合ではありません(でも無理はしないように)!
 (鬼塚大輔・映画評論家、静岡英和学院大・常葉大非常勤講師)

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