テーマ : 美術・絵画・写真

「きみがぼくを見つけた日」 一緒に過ごせない二人【名画の歳時記➃】

 明日は七夕です。七夕の由来の一つとなっているのはご存じの通り、織姫と彦星[ひこぼし]、1年に1度だけ会うことのできる恋人たちの伝説です。中国起源の七夕ですが、日本にも平安時代には伝わっていたとのことですから、織姫と彦星は千年以上もの間、年に1度だけの逢瀬[おうせ]をくり返していることになります。

「きみがぼくを見つけた日」の一場面 ブルーレイ/DVD発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント (c)MMVIII Internationale Scarena Filmproduksions Gesellschaft 2 MBH&Co. KG TM New Line Productions,Inc. (c)2010 Warner Bros.Entertainment Inc.All rightsreserved.
「きみがぼくを見つけた日」の一場面 ブルーレイ/DVD発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント (c)MMVIII Internationale Scarena Filmproduksions Gesellschaft 2 MBH&Co. KG TM New Line Productions,Inc. (c)2010 Warner Bros.Entertainment Inc.All rightsreserved.

 めったに会えないのによく続くものだと感心しますが、めったに会えないからこそ続いているのかもしれないな、と思ったりもします。
 というわけで今回は心から愛し合いながらも、いつも一緒にはいられないカップルを描いた「きみがぼくを見つけた日」(2009年)をご紹介。
 ヘンリー(エリック・バナ、先月このコラムでご紹介した「渇きと偽り」も、この人の主演)とクレア(レイチェル・マクアダムス)が一緒にいられないのは、ヘンリーがタイム・トラベラーだから。ただしヘンリーは自分の能力をコントロールすることができません。突然姿を消し、別の時間、別の場所に現れ(しかも真っ裸で!)、また戻ってくるという、とびきり厄介な能力(病気?)なのでした。
 当然、ヘンリーの時間旅行はクレアとのロマンスにさまざまな試練を与えます。それでも二人はいくつもの困難を乗り越え、幸せな家庭を築いていきます。
 しかしヘンリーが命を落とすこととなる、そう遠くない未来を、ある日二人は知ってしまいます。永遠の別れ? それとも…。
 七夕の夜は織姫と彦星のロマンスに思いをはせながら、“一緒に過ごせない二人”を描く作品を楽しむのも悪くないはずです。
 (鬼塚大輔・映画評論家、静岡英和学院大・常葉大非常勤講師)

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