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「地球防衛軍」 昭和に引き戻されたよう【名画の歳時記⑤】

 まだまだ油断はできませんが、新型コロナウイルス感染症が5類に移行した今年の夏は、復活する、あるいは規模の拡大する夏祭りが県内でもいくつも開かれることでしょう。そんな今、60年以上前の昭和の夏祭りにタイムスリップするというのはいかが?

「地球防衛軍」の一場面((C)1957 東宝)
「地球防衛軍」の一場面((C)1957 東宝)

 県内のいくつかの劇場でも開催中の「午前十時の映画祭13」で今月「地球防衛軍」(1957年)が4Kデジタルリマスター版で上映されるのです。
 「午前十時の映画祭11」で、やはり4Kデジタルリマスター版の「モスラ」(61年)を観[み]た時は、画面に東宝のロゴが映し出された瞬間に衝撃を受けました。何度も観ている作品でしたが、ピカピカの鮮やかな画面だと、そしてスクリーンでの鑑賞だと、まるで封切りの新作を観ているような、昭和の日本に引き戻されたような感動があったのです。
 そして「地球防衛軍」には夏祭りの場面があります。4K画面で描かれる、過ぎし日の日本の夏祭りを観て、参加することが楽しみです。
 もちろん楽しみなのは夏祭りの場面だけではありません。「ゴジラ」(54年)を手がけた本多猪四郎監督の演出、若き日の白川由美、河内桃子の美しさ、“特撮の神様”円谷英二が手がけた、C.G.I.には望めない手作り特撮の味わい(そして地球侵略を狙うミステリアンが操る巨大攻撃ロボット「モゲラ」の信じられないほどのポンコツぶり)…。
 考えてみると封切り当時「空想科学映画の決定版」と銘打たれていた「地球防衛軍」という作品自体が、一つの“お祭り”だとも言えます。夏のお祭りには参加したいですよね。(鬼塚大輔・映画評論家、静岡英和学院大・常葉大非常勤講師)

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