テーマ : 美術・絵画・写真

現代的な長屋住まい 「沼津アーケード名店街」編④完【アートのほそ道】

 2000年代前半に新しいまちづくりの検討をはじめた「沼津アーケード名店街」(沼津市)。ことし3月、1953年完成の「第一地区」の再開発事業計画が県に認可された。「町方町・通横町第一地区市街地再開発組合」の水口隆太理事長(68)=水口園代表=は、名店街の過ぎし日々を「隣近所が助け合う、現代的な長屋住まいのようだった」と懐かしむ。

「沼津アーケード名店街」第一地区の2階、3階部分。均一な形の窓が並ぶ=沼津市
「沼津アーケード名店街」第一地区の2階、3階部分。均一な形の窓が並ぶ=沼津市
小学生時代を振り返り「どの店も活気があった」と話す水口隆太理事長
小学生時代を振り返り「どの店も活気があった」と話す水口隆太理事長
「沼津アーケード名店街」第一地区の2階、3階部分。均一な形の窓が並ぶ=沼津市
小学生時代を振り返り「どの店も活気があった」と話す水口隆太理事長

 60年代に、2階建てが3階建てに増築された。間口がほぼ均一の13店舗が並んでいた。「店舗それぞれの上に家族と従業員が住んでいた。街全体で、現在の3~4倍の人がいただろう」
 通りを挟んで向かい側の第6ブロックでは百貨店「松菱」が営業していた。街路全体の象徴だった。4階建ての屋上には乗り物に乗って塔の周囲をぐるぐる回る飛行遊具が設置されていたという。子どもたちは各建物の屋上を行き来していた。格好の遊び場だった。
 今後数年で、街は生まれ変わる。2023年度に住民らの権利変換計画をまとめて県の認可を受け、24年度には現存建築の解体を始める。地下1階地上10階の新ビルの完成は27年8月を予定する。
 数年前から、県内外の学生らの見学が相次ぐ。水口理事長は新築ビルに期待を示す一方で、「長くわれわれのシンボルだった回廊空間がなくなる」と名残惜しさも口にした。
 (教育文化部・橋爪充)

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