テーマ : 島田市

ボーリング着手「早期に」 県内流域首長、JRに提示 発電施設工事中「返水必要なし」【大井川とリニア】

 リニア中央新幹線トンネル工事に伴う大井川水資源や自然環境の保全策を巡り、大井川流域10市町の首長とJR東海の丹羽俊介社長の意見交換会が25日、静岡市葵区で開かれた。流域側は首長の総意として、大井川上流部にある田代ダム関連施設の大規模改修中は取水をしないので、この間に県内で高速長尺先進ボーリングを実施すれば、ボーリングに伴い県外流出した湧水を大井川に返還する方策の必要はないとの考えをJR側に伝えた。

大井川流域市町首長との意見交換会でリニア工事に伴う水資源保全策について説明するJR東海の丹羽俊介社長(左)=25日午後、静岡市葵区
大井川流域市町首長との意見交換会でリニア工事に伴う水資源保全策について説明するJR東海の丹羽俊介社長(左)=25日午後、静岡市葵区


 同ダムは2月上旬から発電施設の改修中で、大井川から取水していない。流域首長は今回新たな考えを示し、県内工区のボーリング調査の早期着手を求めた。
 トンネル湧水の県外流出を巡っては、JRが田代ダムの取水を抑制することで大井川の減水を防ぐ方策を示していて、県内のボーリングに伴う湧水の県外流出についても「田代ダム取水抑制案」で対応する考えを示していた。
 田代ダムを管理する東京電力リニューアブルパワーによると、ダム発電施設の改修工事は2025年11月まで行う予定で、この間は大井川から取水しない。県とJRの間では、発電施設の工事期間中の田代ダム案の取り扱いについて定まっていないため、今回の流域側の意見は今後の県とJRの議論に影響を与える可能性がある。
 意見交換会は非公開で約90分間行われ、終了後に丹羽社長と流域側がそれぞれ取材に応じた。染谷絹代島田市長は「(県内への)ボーリングを早く、着実に進めてもらいたい」と述べ、山梨県側の県境付近でのボーリングの実施も含めて協議を続けている県とJRに対しスピード感を求めた。
 丹羽社長は「(予測の)不確実性に対する懸念を払拭するためにもボーリングを県内で早く進めてほしいとの意見を多くいただいた」とし、「静岡工区の一日でも早い着手に向けてしっかり進めていく」と述べた。
 (政治部・尾原崇也、焼津支局・福田雄一)

いい茶0

島田市の記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞