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島田市金谷猪土居 小さな塔、茶畑に囲まれ 「火の見櫓」編④完【アートのほそ道】

 島田市の国道473号を南進し静岡空港に至る交差点の手前、道路沿いに広がる同市金谷猪土居の茶畑の中に背の低い火の見櫓[やぐら]がある。細い四角柱の上に見張り台があり、二等辺三角形の鉄骨が屋根を支える。何年も人の手から離れていることを示す赤さびた金属が、茶畑と木々に埋もれながら夕焼けに輝いていた。

茶畑の中にぽつんと立つ火の見櫓。半鐘は「自然と落ちてしまったような記憶が」と地域住民=島田市金谷猪土居
茶畑の中にぽつんと立つ火の見櫓。半鐘は「自然と落ちてしまったような記憶が」と地域住民=島田市金谷猪土居
火の見櫓の基礎部分。四角柱の内部で草木が育ち外へ飛び出している
火の見櫓の基礎部分。四角柱の内部で草木が育ち外へ飛び出している
茶畑の中にぽつんと立つ火の見櫓。半鐘は「自然と落ちてしまったような記憶が」と地域住民=島田市金谷猪土居
火の見櫓の基礎部分。四角柱の内部で草木が育ち外へ飛び出している

 火の見櫓が立つ茶畑は近隣の茶業「永田農園」の土地だが同園でも詳しい経緯はわからず、島田市でも由来を把握していないという。高さは6~7メートル程度と、火事をいち早く視認するために高所から見通す必要がある火の見櫓としては小さい。同地に住む茶業杉本芳樹さん(71)は「昔は一面畑だったから十分な高さだったのだろう」と話す。
 幼少期に茶畑のあった同地をよく訪れたという杉本さんだが、当時は火の見櫓が多く、個々の櫓について特に記憶は残っていないという。1942年、牧ノ原台地に築かれた帝国海軍の大井海軍航空隊の飛行場へつながる主要道として、現在の国道473号に位置した畑道の道幅が大きく拡張された。「火の見櫓もその頃に建てたんじゃないか」と杉本さんは推察した。
 金谷猪土居の櫓は半鐘が失われていたが、市危機管理課によると、まだ人が登れる半鐘付きの櫓が市内に多数残るという。担当者は「たたき方を知る人が少なく、機能するかどうかは分からない」と話した。
 (教育文化部・マコーリー碧水)

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