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移動式の期日前投票所“堅調” 南伊豆町議選で5カ所 人手不足、高齢化で15年から開始

 南伊豆町議選(定数11)は15人が立候補し、30日の投開票に向けて激しい選挙戦を繰り広げている。町選挙管理委員会はこれまでの選挙と同様に〝移動式〟の期日前投票所を開設。日ごとに時間を区切り、町内数カ所で期日前投票ができるようにした。2015年にスタートした取り組みで、小規模自治体ならではの人手不足や高齢化といった課題の解決を図る。

〝移動式〟の期日前投票所で一票を投じる町民=26日午前9時5分ごろ、南伊豆町の石廊崎区事務所
〝移動式〟の期日前投票所で一票を投じる町民=26日午前9時5分ごろ、南伊豆町の石廊崎区事務所
期日前投票所の投票者推移
期日前投票所の投票者推移
〝移動式〟の期日前投票所で一票を投じる町民=26日午前9時5分ごろ、南伊豆町の石廊崎区事務所
期日前投票所の投票者推移

 期日前投票が始まった26日午前9時。同町の石廊崎区事務所に設けられた投票所で、パート社員羽坂八重子さん(76)が一票を投じた。移動式の投票所が自宅近くに設けられるたび、利用しているという。「車が運転できないので、役場まで投票に行くのは大変。でも選挙権がある限りは投票しなければ」と語った。
 町選管によると、各地区で「期日前の2割程度」の有権者が利用するなど一定の成果があり、今回は28日までに5カ所で実施する。
 町が〝移動式〟導入に踏み切った背景には、主に二つの要因がある。町内では15年ほど前まで当日の投票所を20カ所ほど設けていたが、投票所の立会人確保が困難なことや、予算削減のために、今回選では8カ所に減らしている。加えて、町内は高齢化が48・1%と県内で5番目に高く(4月現在)、集落は山間部や沿岸部に点在する。少しでも高齢者の移動負担を軽減したいとの意図もある。
 一方、4月の県議選の下田市・賀茂郡選挙区で、南伊豆町がトップの投票率64・14%だったのに対し、東伊豆町は37・79%と最下位だった。南伊豆町が候補者の居住地だった点なども考慮する必要はあるが、東伊豆町選管は低投票率に危機感を募らせる。同選管の担当者は「地域事情も異なるので導入は簡単ではない」としながら、「住民の声を踏まえ、さまざまな対策を考えたい」と話す。
 南伊豆町選管事務局の日吉辰郎さん(32)は、高齢者らの投票機会の拡充とともに積極的な啓発活動を若年世代に展開する重要性を説く。投票率維持に向け、「両輪で進めることが鍵になる」と強調する。
期日前も当日も ワゴン車で有権者送迎  伊豆半島の賀茂地域では、有権者の移動支援に取り組む自治体も見られる。西伊豆町では高齢化が進む山間部の大沢里地区で、期日前投票の際や投票日当日に、町職員がワゴン車で投票所まで有権者の送迎を行っている。
 2021年の知事選で投票所を11カ所から9カ所に削減したことに伴い、公共交通の乏しい同地区の住民の移動手段を確保するために導入した。回覧や同報無線で集合時間や場所をあらかじめ告知する仕組みで、期日前と投票日で計2回の送迎を実施した。
 同町は高齢化率が52・6%(4月現在)と県内で最も高く、投票所の立会人の確保なども困難になっている。「人員削減のために投票所を減らす中、投票の利便性向上の取り組みを模索する必要がある」と同町の担当者。南伊豆町と同様に、移動式の期日前投票所開設についても検討する。
 県東部ではほかに、伊豆の国市や熱海市、富士宮市がバスなどの車両を活用した移動式の期日前投票所を設置し、投票機会の確保に努めている。

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