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元幕内・磋牙司さん 7日、沼津で断髪式「生まれ変わっても相撲を」

 大学卒業後の2004年に入間川部屋に入門し、18年間にわたり角界で相撲を取り続けた元幕内磋牙司洋之さん(40)=三島市=が7日、沼津市内のホテルで断髪式に臨む。思うような結果が出ず、もがき苦しみながらも向き合い続けた相撲道とは。磋牙司さんに土俵への思いや、新たな人生に向けた目標を聞いた。

磋牙司さん
磋牙司さん

 ―18年間を振り返って。
 「長かった。全てが大変だった。勝つためにやってきたが、結局は相撲の世界に答えはなかった。常に考え、感覚を磨き続けなくては勝てない。30歳を過ぎてからは体の衰えで勝てなくなったが、引退した今も相撲をやりたい気持ちは変わらない。相撲道を追求し、熱中できたことは幸せだったと思う」
 ―印象的な一番は。
 「7連勝で幕下優勝した2007年名古屋場所の6番目、相手は二つ年上で近畿大から入った元アマチュア横綱の朝陽丸。そこで勝てたことが大きな自信になった。大学時代に伸び悩み、プロになっても癖がなかなか抜けない。後で気付くことだが、足の力が劣っていた。おろそかになっていた押しを鍛え、基本の相撲に立ち返ってつかんだ勝利だった」
 ―昨年、幕下優勝をかけた一番を最後に引退した。
 「元々、引退を決めていた。晩年は血圧や血糖値の数値が悪く、体重をキープするのも難しかった。場所前の体重は10キロも落ちていたが、名古屋でいつも送迎してくれていた人が『相撲を取れ』と言ってくれ、何とか体重を戻して土俵に上がった。6連勝で臨んだ7番目、立ち会いを完全に失敗した。最後の相撲が一番悔しい。思い返せば悔いだらけだが、それだけ相撲が好きだ。生まれ変わっても相撲をやりたい」
 ―今後の目標は。
 「生きづらさを感じる子どもたちの放課後デイサービスをやりたい。現役時代、体が不自由な方々からも多くの手紙で励まされた。恩返しをしたい。そしていつか、子どもから大人まで参加できる相撲クラブも開きたい。相撲は地面に丸を書けばできる身近なスポーツ。動きのトレーニングや体のバランスなど、勝ち負けではない相撲の面白さと奥深さを伝えたい」
 (聞き手=三島支局・金野真仁、東部総局・尾藤旭)

 さがつかさ・ひろゆき 本名・磯部洋之。467勝452敗21休、最高位は西前頭9枚目。三島市立錦田小、錦田中、沼津学園高(現飛龍高)、東洋大を経て角界入り。身長165センチ、最高体重は137キロ。

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