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商業地4年ぶり上昇 静岡県内公示地価 沿岸部下落続く、都市部との二極化も

 国土交通省は26日、1月1日時点の公示地価を発表した。静岡県内32市町672地点の対前年比平均変動率は、新型コロナウイルス感染症5類移行による社会経済活動の正常化を受け、商業地がプラス0・2%(前年マイナス0・2%)と4年ぶりに上昇へ転じた。住宅地はマイナス0・2%(同マイナス0・5%)と下落幅が縮小し、工業地はプラス0・5%(同プラス0・2%)で2年連続の上昇。回復基調だが、沿岸部と都市部の二極化も進む。

 住宅地の上昇地点は156地点で、前年の112地点を上回った。静岡市葵区西草深町や音羽町、清水区谷田など生活利便性が高い市街地で上昇した一方、津波リスクがある沿岸部や高齢化、過疎化が進む地域で下落が続いた。今回は織り込まれなかった能登半島地震の影響が今後、地価に現れる可能性もある。
 商業地は前年を25カ所上回る77地点で上昇した。上昇率トップは熱海市銀座町の13・2%。首都圏からの良好なアクセスと国内旅行の活発化を背景に人流が増加し、宿泊施設や飲食・土産物などの出店意欲が強まる。三島市のJR三島駅周辺や長泉町も堅調な伸びを示したほか、浜松市ではショッピングセンターが立地する郊外でも上昇基調が続く。
 工業地は、浜松市などの東名、新東名高速道インターチェンジ(IC)に近い地域で大幅に上昇している。東京や名古屋など大消費地に挟まれる静岡県は輸送上の優位性が高く、交通利便性の良いIC周辺は物流拠点や工業用地の引き合いが強い。
 地価公示鑑定評価員分科会の木村満義代表幹事(52)は、コロナ禍の影響を大きく受けた繁華街などの中心商業地でも「回復がはっきり見られるようになってきた」と分析。建築費の上昇や日銀によるマイナス金利の解除、賃上げなど多くの外部要因もある中、「今後の地価にどう作用するか。注意深く見る必要がある」と指摘した。
(経済部・金野真仁)

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