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大自在(4月6日)スイス

 日本がスイスと国交を樹立して今年で160年を迎えた。200年以上前から永世中立国の看板を掲げている友好国に好印象を抱いている人は多いのではないか。アルプスの少女ハイジ、高級時計、数多くの国際機関の拠点-。思い浮かべるものは人それぞれだろう。
 国連機関が国民生活の豊かさを示す目安として発表している「人間開発指数」の最新の世界ランキング1位はスイスである。指数は所得や平均余命、就学状況を組み合わせて算出する。国民の満足度は高いに違いない。
 スイスは国民皆兵の国であり、武器輸出国でもある。日本との交流は江戸末期に修好通商条約を締結したのが出発点。当時、日本には時計とともに武器も輸出していたという。
 北大西洋条約機構(NATO)だけでなく、欧州連合(EU)にも入っていない。中立に反すると2002年まで国連にさえ加盟していなかった。独自の道を歩み、国際社会で存在感を示しているのは確かである。
 国連加盟を巡り国民が大論争を繰り広げていた時代にスイス大使を務めたのが、元警察庁長官の国松孝次さん(浜松市出身)。自らの見聞をもとに著した「スイス探訪」(角川文庫)は、この国の素顔を伝え、日本はもっと研究してもよいのではないかと記す。副題は「したたかなスイス人のしなやかな生き方」である。
 スイスは北朝鮮とも国交がある。北朝鮮による日本人拉致被害問題は進展が見られないまま時間だけが経過している。北朝鮮との交渉には何よりも「したたかさ」と「しなやかさ」が求められる。

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