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静岡知事選出馬 大村慎一元副知事が表明 鈴木康友前浜松市長も意欲

 元総務官僚で、静岡県の副知事を務めた大村慎一氏(60)は8日、川勝平太知事の辞職に伴って行われる知事選に無所属で立候補すると表明した。県庁前で取材に応じた大村氏は「混迷する県政の立て直しに全力で取り組みたい」と述べた。同知事選への出馬表明は大村氏が初めて。一方、地元経済界の一部が擁立に動く元浜松市長の鈴木康友氏(66)は同日、浜松市中央区で静岡新聞社の取材に「市長の実績をベースにいろいろなことができる」と意欲をにじませ、近日中に出馬の可否を決める考えを示した。

大村氏「愛する古里を豊かに」 地方行政精通、強調
  photo03 静岡県知事選への立候補を表明する大村慎一氏=8日午前、県庁前
 大村氏は現県政について「知事の急な辞職で混乱も起き、対立と分断がある」との見方を示し、「東部、中部、西部の地域を超え、オール静岡、県民で、愛する古里をもう一度、豊かに、未来のある県にしたい」と述べた。今後、さまざまな政党や団体に支援要請する見通し。
 防災対策や地域経済の発展、市町との連携を課題に挙げ、「地方行政に精通する私の力が役立てる。身を賭して愚直に頑張りたい」と行政経験を強調した。リニア中央新幹線問題については「まずは関係者との十分な対話が必要」と述べるにとどめた。具体的な政策は近日中に開く記者会見で説明するとした。
 県内経済界から「県政を立て直すために頑張れ」との要請を受けて出馬を決断したと説明した。候補者調整による撤退の可能性について「一度言ったことを引っ込めるのは苦手。決意を固めている」と否定した。取材には岩崎清悟県経営者協会元会長が立ち会った。
 大村氏は県庁で川勝知事や県議会各会派を訪ね、静岡、浜松両市や市議会、団体にあいさつ回りをした。
 大村氏は静岡市出身。静岡高、東京大卒。1987年に自治省に入り、総務省の地域力創造審議官や地方連携総括官を歴任し、23年7月に退官した。静岡県で09年に総務部長、10、11年に副知事を務めた。

鈴木氏「県政立て直しを」 市長16年の実績ベースに
  photo03 前浜松市長の鈴木康友氏
 前浜松市長の鈴木康友氏(66)は同市内で静岡新聞社の取材に応じ、「市長を16年間務めた実績と経験をベースに、県政でもいろいろなことができると思っている」と出馬への意欲をにじませ、近日中に出馬の可否を最終判断する意向を明らかにした。
 鈴木氏は市長時代に注力した産業分野を例に挙げながら「静岡県は産業政策が相当遅れている。忸怩(じくじ)たる思いがある」と県内経済振興の必要性を強調した。川勝知事の一連の不適切発言によって、本県のイメージが全国的に悪化し、県政が混迷していることも危惧し、「イメージ回復と県政の立て直しは急務だ」と述べた。
 鈴木氏は市内経済界の一部が、首長経験が豊富で知名度があり、中央政界をはじめ幅広いパイプを持つことを評価して水面下で擁立を打診した。自民党や連合静岡など幅広い政党や団体に支援を求めるなどして与野党相乗りの候補擁立を目指すとみられる。
 鈴木氏は同市中央区出身。当時の民主党で衆院議員を2期務めた後、2007年の市長選で初当選し、23年4月末まで4期16年務めた。退任後は都内と市内を拠点にコンサルティング業を行っている。21年の知事選にも出馬が取り沙汰されたが、行政区再編問題などを解決していないとして出馬を見送った。


 

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